研究課題
若手研究(B)
半導体製造に用いる高濃度アルカリ溶液では、主成分であるナトリウムイオンに対して8桁以上低い濃度で溶存する微量金属イオンでさえ汚染源となる。本研究では、放射線グラフト重合技術を駆使し、pH15の超塩基性領域下においても微量金属イオンの除去を可能とする吸着材の創製に成功した。作製した金属吸着材は、金属吸着性官能基としてピペラジニル-ジチオカルバミン酸基を有しており、高濃度アルカリ条件下(10M NaOH水溶液, pH 15)における金属イオン除去性能は、既存のアミン型吸着材の2.4倍を示した。
量子ビーム科学関連
本研究で提案する汎用高分子素材への新たな金属吸着性官能基の導入方法は、高選択性金属吸着材の創製に資する新たな知見を示した。また、本法は、新規の有価金属回収用吸着材や有害物質除去用吸着材の創製などへの応用展開に繋がることから、その学術的意義は大きい。さらに、本研究で用いる放射線グラフト重合技術は、汎用高分子素材の簡便かつクリーンな機能化手法であり、産業応用が容易であるといった点からも社会的意義は大きい。