研究課題
現代理工学において,データサイエンスとの関係も強い行列に関する数値計算アルゴリズムは非常に重要視されている.行列に関する線形代数的な数値計算アルゴリズムは,線形計算の標準ライブラリLAPACKやARPACKにも実装され幅広く利用されている.本研究は,線形代数的な数値計算の中でも一つの柱となる,大規模固有値計算アルゴリズムの数学理論に着目し,その改良と広い意味での応用により,固有値問題に限らず現在の重要な行列計算を発展させることである.特に近年は,確率的なノイズを含む行列データに対する,ノイズに対してロバストな高性能数値計算アルゴリズムの開発およびその数学理論の発展を研究テーマとしている.具体的には,固有空間を特定する高性能アルゴリズムに基づき,最小二乗問題に対するアルゴリズム開発と統計解析を行っている.さらに,その収束解析のための漸近理論は,行列の低ランク近似として広く応用可能な理論を部分的に含んでいることに着目し,行列の低ランク近似の数値計算手法としての漸近理論に一般化した.これにより,行列データに対する通常の意味での数値解析的なアルゴリズムが,ノイズを含む行列データに対しても有力であることが数学的に厳密に示され,この理論に基づき,ノイズに対してロバストなアルゴリズムの開発への道がひらけたと言える.このような知見は応用分野へも大きく寄与するはずである.例えば,近年データ駆動型アルゴリズムとして有力視されている動的モード分解に対しても,ノイズに対するある種のロバスト性に対して,数学的に厳密な証明を与えている.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Journal of Computational and Applied Mathematics
巻: 417 ページ: 114551~114551
10.1016/j.cam.2022.114551
Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics
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https://aishima.cis.k.hosei.ac.jp/research.html