安定∞圏とそこから派生するHochschildホモロジーやHochschildコホモロジーについての研究をいくつかの観点から研究した。背景としてはホモロジー的ミラー対称性や$E_n$代数のfactorization層などがある。2020年度中に発見したfactorizationホモロジーの写像スタックへの自然変形(拡大)を応用してきわめて一般的な形で定式化し一般論を整備した。そのことを用いて、安定∞圏の族から周期的巡回ホモロジー(periodic cyclic homology)の族にHodge構造の類似の構造が入ることに応用した。その構造の構成についてはもう一つの構成法を見つけている。それは、HochshcildホモロジーとHochschildコホモロジーの対に入る代数構造とそのモジュライ理論的な解釈を見つけたうえでそれを応用するもので2020年度に見つけていた。2021年度はその技術的詳細をかなり簡略化し見通しをよくすることに成功した。この結果はOn D-modules of categories I、``Moduli Theory associated to Hochschild pairs''として私のホームページ、arXivのversion2として公開中である。さらに私自身で見つけた二つの構成法は各々長所を持っており、比較することが重要となる。これら一見異なる構成たちは同じものを構成することを、Koszul双対性などを応用することによって証明した。その結果はOn D-modules of categories IIとして公開中である。さらにこれらの理論を用いてGriffiths横断性を示した。またこれらから思いついてCY安定∞圏に対するBogomolov-Tian-Todorov定理を示した。
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