研究実績の概要 |
本年度は,Brou\'e-Malle-Rouquier自由予想を最終的に解決した.Brou\'e-Malle-Rouquier(Crelle,(1998))は複素鏡映群についてヘッケ環や組紐群といったリー環論的対象を定義し,これらが通常のCoxeter群(実鏡映群)のものと同様の性質をもつだろうと予想した.BMR自由予想(BMR freeness conjecture)はこのうちもっとも有名なものであり,たとえば日本語wikipediaでも「BMR」の転送項目4件中の1つに「BMR 予想」をみることができる(2018年4月現在).またP.Eingof(arXiv:1606.08456)やI.Marin(qwww.lamfa.u-picardie.fr/marin/arts/reportBMR.pdf)などのサーベイからもわかるとおり,さまざまなアプローチで多くの研究者たちによって取り組まれてた.2016年までの段階で5つの複素鏡映群についてBMR自由予想を証明すればよいところまで進展し,2017年2月までの段階で,3つの複素鏡映群G17,G18,G19について証明すればよいことが知られていた.私はこれらを含むすべてのランク2の複素鏡映群について,G.Bergman(Adv.Math.,(1978))のdiamond補題(Gr\"obner 基底の非可換版)に触発された手法で,計算機も援用し証明を与えた.
またB2型regular柏原クリスタルの純グラフ理論的特徴付けをあたえた.これはStembridgeが2003年に,simply-laced GCMに付随するregular柏原クリスタルの純グラフ理論的特徴付けをあたえて以来,SternbergやDanilov-Karzanov-Koshevoyらによって部分的な結果がえられていたものの,未解決であった.
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