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2020 年度 実施状況報告書

K3曲面の自己同型と周期の研究とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 17K14156
研究機関東京大学

研究代表者

橋本 健治  東京大学, 大学院数理科学研究科, 特任研究員 (00793986)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワードK3曲面 / 格子理論 / 自己同型 / 有限群 / 無限群 / 保型形式 / ミラー対称性
研究実績の概要

前年度に引き続き、K3曲面の自己同型と周期の研究を行った。K3曲面は主に複素数体上定義されたものが考察対象である。得られた研究成果について、一部はプレプリント(論文)としてまとめているところである。
(1) K3曲面の自己同型の研究を進めた。手法としては主に格子理論を用いた。特に、K3曲面に作用する無限群の研究を行った。一般にK3曲面の自己同型の位数が無限である場合は、 Salem 多項式とよばれる多項式によってその作用が記述される。前年度までにピカール数2の場合を詳しく調べたが、今年度はピカール数が3または4の場合について研究した。一般に無限群を研究することは難しいが、無限群についての既存の結果を応用するなどして、ある程度の成果を得た。(Kwangwoo Lee 氏との共同研究)
(2) K3曲面(の周期)と関連した保型形式(のなす環)についての研究を前年度に引き続き行った。(言い換えると、(特殊な)保型形式環を幾何的な観点から調べた。)特に、考察の対象のK3曲面が楕円ファイブレーションをもつ場合について詳しく調べた。この場合は、格子理論としてはルート格子とよばれるよく知られた格子が対応しており、具体的な研究が可能となる。(植田一石氏、永野中行氏との共同研究)
(3) 前年度に引き続き、完全交叉として実現されるK3曲面のミラー対称性について研究を行った。この場合のミラー対称性としては、トーリック幾何におけるミラー対称性(Batyrev-Borisov mirror)とK3曲面のミラー対称性(Dolgachev mirror)という2つの定式化があり、それらを比較した。得られた研究成果は非常に具体的なものであるが、その一般化の可能性も模索している。また、この構成を3次元の場合、即ちカラビ・ヤウ多様体に適用することも計画している。(Hwayoung Lee 氏との共同研究)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルスの感染拡大により当初の予定の通りに計画をすすめることができなかった。特に、共同研究者との研究打ち合わせを行うことに困難があった。研究自体は、自己同型を考えるK3曲面のピカール数を2から3以上の場合にするなど、ある程度の進展があった。

今後の研究の推進方策

K3曲面に作用する無限群について、研究を進める(ピカール数3以上の場合)。また、K3曲面に対応した保型形式環についても、楕円ファイブレーションをもつ場合を中心に研究を進める。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルスの感染拡大により、計画通りに研究(予算の使用)を行うことができなかった。

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公開日: 2021-12-27  

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