研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、gentle代数の加群圏のねじれ類の分類に関する、Aaron Chanとの共同研究に取り組んだ。gentle代数A上の加群はstring(Aの箙上のwalkで関係式に反しないもの)によって与えられる。近年の研究により、gentle代数Aは、自然な方法で分割された点付き曲面として実現されること、さらにstringは曲面上の曲線として実現されることが知られている。特に、2つのstringに対して、交差の概念が定義できる。我々は、Aのねじれ類と、基礎体のパラメータ付きの交差しないinfinite stringたちの極大集合の間の、自然な一対一対応を構成することに成功した。この対応は、加群圏の特別な部分圏であるねじれ類を、組み合わせ論的対象によって完全に記述するものであり、ねじれ類の関手的有限性を仮定していない強力な結果である。この研究成果は、近日中に論文として公開する予定である。
6月に京都大学数理解析研究所で開催された団代数の研究集会で、以前に得られた有限次元代数の加群圏のねじれ類全体の成す完備格子に関する研究成果(Osamu Iyama, Nathan Reading, Idun Reite, Hugh Thomasとの共同研究)および、上で述べたgentle代数のねじれ類に関する研究成果に関して、1時間の招待講演を行った。
有限次元代数の加群圏のGrothendieck群の元θから、ねじれ対と広大部分圏が自然に定まる。これに関して考察を行った。
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