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2021 年度 実施状況報告書

トーリック多様体の双対欠損の組合せ論的記述に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K14162
研究機関岡山大学

研究代表者

伊藤 敦  岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (90712240)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワードアーベル多様体 / シジジー
研究実績の概要

トーリック多様体の双対欠損についてはガウス写像との関連性,類似性について研究を行ったが,特に進展は得られなかった.その一方で,2020年度の研究を踏まえてアーベル多様体上のシジジーに関して以下のような研究を行った.
代数多様体の射影空間への埋め込みが与えられた時,その定義多項式の間の関係式やその関係式の間の関係式等はシジジーと呼ばれる.「p番目までのシジジーが単純になる」とき,その埋め込みは条件(N_p)を満たすという.一般にこの条件が満たされるかどうかを確認するのは容易でないことが多いが,アーベル多様体の場合は比較的よく調べることができる.
Pareschi氏とJiang氏は偏極アーベル多様体に対しbasepoint-freeness thresholdという不変量(以下BFTと略す)を導入し,彼ら及びCaucci氏はその不変量が小さいならば(N_p)が成り立つことを示した.したがってBFTを具体的に計算,評価することは重要であり,最近その方法が進展してきている.
偏極アーベル多様体に対し,「型」と呼ばれる正の整数の列が定まる.2020年度には(1,...,1,d)型の一般の偏極アーベル多様体に対しBFTの評価を行ったが,当該年度はその結果を一般の型に対して拡張した.その応用として
・大域切断の次元が2^{2g-1}より大きい一般のg次元偏極アーベル多様体は射影正規であることを示した.なおこの2^{2g-1}はこれ以上小さくすることはできないこともわかる.
・偏極アーベル多様体の超曲面がInfinitesimal Torelli Theoremを満たすための,型に関する具体的な十分条件を与えた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

まだ正標数における双対欠損の良い記述が見つかっていないが,その一方で当初予定していなかったアーベル多様体のシジジーについての研究が進展しているため.

今後の研究の推進方策

アーベル多様体上のシジジーに関する研究を続ける.またトーリック多様体の双対欠損については進展が得られていないので,もう一度ケーリー構造やトーリック多様体とは限らない一般の代数多様体の双対欠損の性質などの観点から研究を行う.

次年度使用額が生じた理由

COVID-19の影響で参加予定の研究集会が中止もしくはオンライン開催になったため.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Examples on Loewy filtrations and K-stability of Fano varieties with non-reductive automorphism groups2021

    • 著者名/発表者名
      Ito Atsushi
    • 雑誌名

      Annales de l'Institut Fourier

      巻: 71 ページ: 515~537

    • DOI

      10.5802/aif.3395

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Linear systems on general polarized abelian varieties of type (1,...,1,d)2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤 敦
    • 学会等名
      都の西北 代数幾何学シンポジウム 2021 「接束の正値性とその周辺」
    • 招待講演
  • [学会発表] Linear systems on abelian varieties via M-regularity of Q-twisted sheaves2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤 敦
    • 学会等名
      第66回 代数学シンポジウム
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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