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2022 年度 実施状況報告書

トーリック多様体の双対欠損の組合せ論的記述に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K14162
研究機関岡山大学

研究代表者

伊藤 敦  岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (90712240)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2024-03-31
キーワードトーリック多様体 / セシャドリ定数 / カラビ-ヤウ多様体 / アーベル多様体 / シジジー
研究実績の概要

トーリック多様体の双対欠損について,ケーリー構造やトーリック多様体とは限らない一般の代数多様体の双対欠損の性質などの観点から研究を行ったが,特に進展は得られなかった.一方その過程で,以前Ambro氏(IMRA)との共同研究で示した,セシャドリ定数という不変量に関する不等式の証明に誤りを発見した.Ambro氏と共同で修正を行い,一部の結果は弱くなってしまったが,一部の結果は別証を与えることでより良い不等式が得られた.
その他以下のような研究も行った.
射影代数多様体の分類などにおいて双有理幾何学は非常に有力である.代数多様体Xに対し,そのQ分解的正規射影代数多様体と呼ばれる,Xと「ほとんど同型」(つまり余次元2以上のザリスキ閉集合をのぞいて同型)な代数多様体は双有理幾何学において重要な役割を果たす.
当該年度は,Ching-Jui Lai氏(国立成功大学), Sz-Sheng Wang氏(Academia Sinica)との共同研究で,いくつかの3次元カラビ-ヤウ多様体の双有理幾何を研究し,それらのQ分解的正規射影代数多様体をすべて求めた.特にこれらのカラビ-ヤウ多様体に対しては,movable cone予想という,代数多様体上の直線束(の数値的同値類)がなす錘に関する予想が成り立つことを確認した.
代数多様体の射影空間への埋め込みが与えられた時,その定義多項式の間の関係式やその関係式の間の関係式等はシジジーと呼ばれる.「p番目までのシジジーが単純になる」とき,その埋め込みは条件(N_p)を満たすという.一般にこの条件が満たされるかどうかを確認するのは容易でないことが多いが,アーベル多様体の場合には,basepoint-freeness thresholdという不変量が小さいならば条件(N_p)が満たされることが,Pareschi氏,Jiang氏,Caucci氏らにより示されている.当該年度は,アーベル多様体上の射影束の普遍直線束が定める埋め込みの場合にその結果を一般化した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

正標数における双対欠損の良い記述が見つかっていないため.

今後の研究の推進方策

複素数体上においては,トロピカル幾何を用いたトーリック多様体の双対欠損の記述が知られているので,正標数の場合にトロピカル幾何の観点から研究する.

次年度使用額が生じた理由

Covid-19の影響により,参加予定の研究集会が中止もしくはオンライン開催になったため.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] IMAR(ルーマニア)

    • 国名
      ルーマニア
    • 外国機関名
      IMAR
  • [雑誌論文] Corrigendum to “Successive minima of line bundles” [Adv. Math. 365 (2020) 107045]2023

    • 著者名/発表者名
      Ambro Florin, Ito Atsushi
    • 雑誌名

      Advances in Mathematics

      巻: 420 ページ: 108966~108966

    • DOI

      10.1016/j.aim.2023.108966

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Review of some recent results on linear systems on abelian varieties2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤 敦
    • 学会等名
      第1回熱海代数幾何学研究集会
    • 招待講演
  • [学会発表] Projective normality of general polarized abelian varieties2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤敦
    • 学会等名
      K3, Enriques Surfaces, and Related Topics
    • 招待講演
  • [学会発表] Projective normality of general polarized abelian varieties2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤 敦
    • 学会等名
      城崎代数幾何学シンポジウム 2022
    • 招待講演
  • [備考] Atsushi Ito

    • URL

      https://sites.google.com/site/atsushiito221/

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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