研究課題/領域番号 |
17K14170
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
宮谷 和尭 広島大学, 理学研究科, 助教 (10711145)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 数論幾何学 / p進微分方程式 |
研究実績の概要 |
研究代表者は当年度,p-進超幾何微分方程式に関する新しい成果を得た.すなわち,そのパラメーターについて p-進リウヴィル性に関するある条件が成立しさえすれば,p-進超幾何微分方程式は階数 1 の p-進超幾何微分方程式の convolution として現されることを証明した. 類似の結果は,本研究の開始前にフロベニウス構造を持つ超幾何微分方程式(パラメーターに関する条件がさらに強い)に対して得られていたが,上記の結果はその一部をフロベニウス構造を持たない場合に大きく拡張するものである. 本研究の最終的な目標は p-進非線型微分方程式の研究であり,一方で上述の p-進超幾何微分方程式は線型の微分方程式である.しかしながら,非線型微分方程式のフロベニウス構造の具体例を探る上で,またフロベニウス構造を持つ場合/持たない場合の現象を研究する上で,上記の進展のもたらす知見は大きいと言える.フロベニウス構造を持たなくても,p-進微分方程式として良い振る舞いをすることがあるという例が得られたという点で,「良い」p-進非線型微分方程式もじゅうぶん沢山あると期待されるからである. なお,2018年1月に開催された国際研究集会「The 11th Conference on Arithmetic and Algebraic Geometry」において,研究代表者はこの科研費の支援の下で参加し,上記結果に関する研究発表を行った. また,これ以外に,具体的な p-進非線型微分方程式の形式解の収束半径に関する考察も進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
具体的な p-進非線型微分方程式の形式解についての考察を進めた. また,線型微分方程式のひとつである超幾何微分方程式に関して,フロベニウス構造を持たない場合の挙動についても新しい結果が得られた.これは非線型の場合の挙動の考察にも大きく影響する成果であった. 以上の理由で,本研究はおおむね順調に進展していると評価する.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目標である p-進非線型微分方程式は,興味深いテーマでありながら,ほとんど手がつけられていない分野である.従って,研究へのアプローチとしても様々な方法が考えられ,やるべきことは尽きない.今後もフロベニウス構造の研究を中心に,具体例の計算と一般論の構築の双方から研究を続ける. また,国内および国際研究集会での講演も予定している.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費の購入において端数が生じたため.引き続き,次年度の物品費に合算して使用する.
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