研究課題/領域番号 |
17K14176
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
谷口 直樹 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 助教 (30782510)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 可換環論 / Almost Gorenstein環 / Cohen-Macaulay環 / Gorenstein環 / 行列式環 |
研究実績の概要 |
本研究の目標は,多様かつ豊富に存在するCohen-Macaulay環をGorenstein性との相違を指標に階層化し,非Gorenstein Cohen-Macaulay環論に新たな展望を齎すことにある。平成29年度は,下記2課題に着手した。 課題(1)Rees代数のalmost Gorenstein性解析 課題(2)行列式環のalmost Gorenstein性解析 課題(1)に関して,現在では,数多に存在するCohen-Macaulay Rees代数の中でも,Gorenstien環はごく僅かであることが明らかにされている。従って,これら非Gorenstein Cohen-Macaulay Rees代数の中には,almost Gorenstien環となるべきものが豊富に含まれていて,解明を待っていると推測される。研究代表者は,後藤四郎,松岡直之,吉田健一との共同研究において,contracted idealsに関するRees代数のalmost Gorenstein性の判定条件を与えた。また,2次元excellent Gorenstein正規局所環上のpg idealsに関するRees代数がalmost Gorenstein環であることも示した。課題(2)は,行列式環のalmost Gorenstein性解析に取り組むものである。研究代表者は,行列式環がalmost Gorensteinとなる判定条件を与えることに成功した。 また,研究代表者は,2017年11月に京都大学数理解析研究所で開催された第39回可換環論シンポジウムと2018年3月にアメリカのオハイオ州立大学で開催されたAMS Meeting Special Session on Homological Algebraに出席し,成果発表,情報収集,及び研究連絡に従事した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,平成29年度内に,contracted idealsに関するRees代数がalmost Gorenstein環となるための判定条件を得ることに成功した。また,2次元excellent Gorenstein正規局所環上のpg idealsに関するRees代数がalmost Gorenstein環であることも示している。得られた成果は2編の論文に纏め,内1編は,Michigan Math. Journalから既に発表されており,残りの1編は,Kyoto Journal Math.から発表予定である。 また,行列式環のalmost Gorenstein性に関する判定条件を与えることにも成功した。成果を纏めた論文は,Communications in Algebraから発表されている。 以上により,現在までの達成度は「おおむね順調に進展している」と判断される。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度以降は,almost Gorenstein環論のさらなる深化と発展,充実を目指し,数多の未開拓課題に挑みながら,関連分野への浸透を図ることを目指す。当面は,不変式環のalmost Gorenstein性解析に従事する計画である。並行して,加群のRees代数のalmost Gorenstein性解析に着手する予定である。具体的には,2次元正則局所環上の剰余体の高次のsyzygy加群に関するRees代数のalmost Gorenstein性を考察する。その後,より一般に,Ulrich加群に関するRees代数のalmost Gorenstein性解析を行う。
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