研究課題/領域番号 |
17K14179
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
船野 敬 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (40614144)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ラプラシアン / 固有値 / リーマン多様体 |
研究実績の概要 |
本年度は櫻井陽平氏(東北大・AIMR)と共同で閉リーマン多様体あるいは境界付きコンパクトリーマン多様体上のp-ラプラシアンの固有値の上からの評価を与えた。ラプラシアンの固有値は熱方程式・波動方程式・シュレディンガー方程式などの数理物理に現れるような偏微分方程式の解を理解するのに重要であるだけではなく、近年では極小曲面論のつながりでも幾何学的に重要となってきている。Yauを始めとしたリーマン多様体上のラプラシアンの固有値を幾何学的な量で評価する試みの中で我々は固有値の上からの評価を部分集合の情報から評価することに成功した。具体的にはk番目の固有値をk+1個の部分集合たちにより評価することができるというものである。 この結果はChung-Grigory'an-Yauの結果の改良やp-ラプラシアンといった非線形作用素の場合への拡張となっている。またChung-Grigor'yan-Yauの手法では得られないDirichlet境界条件の場合についても本研究では得られており意義深いと思われる。 応用として境界付きコンパクトリーマン多様体のDiriclet境界条件の下でp-Laplacianの固有値を用いて内接球の上からの評価を与えている。また同様の手法で多重等周定数といった幾何学的量の上からの評価を与えることにも成功している。このように本研究で用いられた手法は幾何学的応用や他の量にも適応可能であり意義があると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
想定していた結果より良い結果を得たのでこの区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きラプラシアンの固有値の評価について研究を継続する。その中でも離散的なグラフラプラシアンの固有値の評価をメインに研究していく。グラフの場合ラプラシアンの第1固有値はエキスパンダーミクシング補題という補題によって下限が特徴づけられることが、Linial達によって知られている。これの第k固有値の場合について研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度末のコロナ感染拡大により出張計画していた研究会が相次いで中止となったため。 国内外の研究会の再開の目途が立ち次第出張を随時行う予定である。
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