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2020 年度 実施状況報告書

4次元多様体のハンドル分解とデーン手術の研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K14180
研究機関筑波大学

研究代表者

丹下 基生  筑波大学, 数理物質系, 准教授 (70452422)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワードスライスリボン予想 / レンズ空間結び目 / ホモロジー球面
研究実績の概要

前年度までは、レンズ空間手術についての研究を行った。正整数手術によってレンズ空間をもつ結び目をレンズ空間結び目という。レンズ空間結び目はアレクサンダー多項式を用いて分類をすることができる。既存の結果では、アレクサンダー多項式の最高次数が1であり、2番目の係数が-1であることが分かっていた。今年度は3番目と4番目の係数についての解析を行った。3番目の係数が1であるとき、(2,2n+1)-型のトーラス結び目もしくであり、4番目の係数が1の場合、(3,3n+1)-型もしくは(3,3n-1)-型のトーラス結び目、もしくは、ある双曲結び目の族であることが示された。つまりこれらのレンズ空間手術があるアレクサンダー多項式の係数によって特徴づけることができる。
これらの結果について、論文を書き、前半の結果については、Hiroshima Math. Journalの方に掲載された。後半の結果については、現在執筆中である。これらの結果を足掛かりにして、レンズ空間結び目のあるアレクサンダー多項式による分類を行うことができるようになった。
ホモロジー球面から得られるレンズ空間についての計算を行った。Σ(2,3,11)とΣ(2,3,13)の中のレンズ空間結び目の族を書き出し、その族についての研究を行った。
また、4次元多様体の研究においては、コルクツイストによって、OS-不変量にある有限性を持つことを示していたが、今回の研究でその有限性を境界のホモロジー球面のフレアホモロジーの情報から評価することができた。それらの結果について、現在執筆に取り組んでいる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度に行われたOISTにて参加した研究集会において寺垣内氏と有益な議論を行い、研究を進めることができた。またその後の発展について多くのことにつながった。この研究の主題であってnon-zero曲線による分類において新しい手法を開発することができた。また、このことから、Greene氏のレンズ空間に分類に関する論文とのつながりについて深く考察するきっかけとなることができた。またこの問題に関する論文を執筆し、発表することができことでレンズ空間手術に関する研究を進展させることができた。
また、コロナウイルス蔓延のおかげか、多くの集会がオンライン化され、前より多くの研究集会に参加しやすくなった。また自ら主催した集会には多くの研究者を呼ぶことができ、多くの議論をすることができたことも収穫の1つと考えている。また、主催セミナーでは、海外の研究者を招待し、講演を行ってもらうこともできた。例えば、Savkにハンドルセミナーで講演をしてもらったことで、有理ホモロジー球体を構成するヒントがあったのでそれをこの研究の場合に生かせる。
また、ゲージ理論などの研究集会を開き、その解析的な内容について理解することができたことが多くの収穫だった。

今後の研究の推進方策

また、レンズ空間結び目のデーン手術による分類を行う。この研究主題である。non-zero曲線の理論を発展させる。一方、Greeneによるchangemaker latticeの手法を習得し、それを我々のnon-zero曲線を用いたレンズ空間結び目の分類に応用させる。これらの間には関係性が知られていなかった。どちらも複雑に見えるが、何かしらの対応があると考える。Greene氏の論文を読み、理解することで、少しずつ両者の関係性を探る。何かまとまった関係性に着目できれば、Greene氏と議論をして進める可能性もある。
また、私はHomology spheres yielding lens spacesで、ある特殊なブリースコーン球面に対して、レンズ空間を産む結び目を具体的に記述する論文を書いたが、この内容からさらに発展させ、多くの例をこれまで計算してきた。いくつかのブリースコーン球面の手術をヒーゴールフレアホモロジーを用いた公式を求めることができた。また、双曲構造をもつホモロジー球面に対しても多くの例を構成した。それらをまとめて論文を執筆する。
スライスリボン予想に関する研究を進める。3ハンドルが2ハンドルの上に乗る多くのケースを考えることで、どのように3ハンドルの障害が回避できるかについて考察を進める。また、スライドをしたときにどのようにダイアグラムの補空間が映りあうか?またそのとき結び目はどのような位置づけになるかについて考察を勧める。
いくつかのブリースコーンホモロジー球面に対して、その球面をboundをする可縮な多様体の構成法を考察する。また、有理ホモロジー球体ではどうかを考える。

次年度使用額が生じた理由

前年度にはコロナウイルスが蔓延し、計画していた研究集会の開催や、研究集会への出張が取りやめになったため、旅費を使うことができなかった。
そのため、多くの科研費を使うことができなかったためである。
次年度には、また開催される研究集会への旅費に用いたり、国際研究集会を開催し、研究者を招待するために用いる予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The third term in lens surgery polynomials2021

    • 著者名/発表者名
      Tange Motoo
    • 雑誌名

      Hiroshima Mathematical Journal

      巻: 51 ページ: 101~109

    • DOI

      10.32917/h2020050

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Notes on Gompf's infinite order corks2021

    • 著者名/発表者名
      Motoo Tange
    • 雑誌名

      Michigan Math. Journal

      巻: 70 ページ: 3-21

    • DOI

      10.1307/mmj/1586419413

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Boundary-sum irreducible finite order corks2020

    • 著者名/発表者名
      Motoo Tange
    • 雑誌名

      Kobe Journal of Math.

      巻: 37 ページ: 19-31

    • 査読あり
  • [学会発表] The third term in lens surgery polynomials2021

    • 著者名/発表者名
      丹下基生
    • 学会等名
      日本数学会年会
  • [学会発表] 接続のなす多様体2021

    • 著者名/発表者名
      丹下基生
    • 学会等名
      微分トポロジー'21
  • [学会発表] The third term in lens surgery polynomials2020

    • 著者名/発表者名
      丹下基生
    • 学会等名
      結び目の数理III
  • [図書] 例題形式で探求する集合・位相2020

    • 著者名/発表者名
      丹下 基生
    • 総ページ数
      216
    • 出版者
      サイエンス社
    • ISBN
      978-4781914923
  • [備考] Webpage of Motoo Tange

    • URL

      http://www.math.tsukuba.ac.jp/~tange/

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公開日: 2021-12-27  

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