研究実績の概要 |
前年度までは、レンズ空間手術についての研究を行った。正整数手術によってレンズ空間をもつ結び目をレンズ空間結び目という。レンズ空間結び目はアレクサンダー多項式を用いて分類をすることができる。既存の結果では、アレクサンダー多項式の最高次数が1であり、2番目の係数が-1であることが分かっていた。今年度は3番目と4番目の係数についての解析を行った。3番目の係数が1であるとき、(2,2n+1)-型のトーラス結び目もしくであり、4番目の係数が1の場合、(3,3n+1)-型もしくは(3,3n-1)-型のトーラス結び目、もしくは、ある双曲結び目の族であることが示された。つまりこれらのレンズ空間手術があるアレクサンダー多項式の係数によって特徴づけることができる。 これらの結果について、論文を書き、前半の結果については、Hiroshima Math. Journalの方に掲載された。後半の結果については、現在執筆中である。これらの結果を足掛かりにして、レンズ空間結び目のあるアレクサンダー多項式による分類を行うことができるようになった。 ホモロジー球面から得られるレンズ空間についての計算を行った。Σ(2,3,11)とΣ(2,3,13)の中のレンズ空間結び目の族を書き出し、その族についての研究を行った。 また、4次元多様体の研究においては、コルクツイストによって、OS-不変量にある有限性を持つことを示していたが、今回の研究でその有限性を境界のホモロジー球面のフレアホモロジーの情報から評価することができた。それらの結果について、現在執筆に取り組んでいる。
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