4次元多様体の微分構造の研究は未知の現象が多く含まれている。この研究課題では、コルクなど微分構造を変える手術の研究について行うことで、4次元のどのような微分構造が構成できるのかについての研究を行うことができる。この研究課題を通して、コルクによって得られる多様体やコルクのバリエーション、コルクによって得られる多様体の制限などの研究を続けた。最終年度は、4次元のポシェット手術についての研究を行なった。鈴木龍正氏(東京工業大学)はポシェット手術という4次元多様体の手術について研究を行なっており、私の研究課題の目的と合致したた共同で研究を進めることにした。ポシェットを用いた手術によって、得られる多様体の不変量や、その制限などを求めた。実際、自明な2-knotや自明なコードを持つポシェットの埋め込みによって得られるポシェット手術は微分同相類を変えないことを突き止めた。それ以外の手術の場合でも、微分同相な多様体を産む例があることを突き止めた。今後これらの手術を一般化したOuter手術などを用いて多角的に多くの4次元多様体を作ることを目指す。 レンズ空間手術に関する研究を行った。デーン手術によっていつどのようなレンズ空間が作られるのかについての研究は現在も活発に研究されており、デーン手術において重要な話題である。研究代表者はレンズ空間手術の分類のために、非ゼロ曲線の開発をしたが、その整備といくつかの分類を行なった。例えば、3番目の係数が0ではないアレクサンダー多項式を持つレンズ空間結び目の分類などである。最終年度では、アレクサンダー多項式の4番目の係数が0ではない状況での同様の分類についての証明を行なった。今後の研究では、非ゼロ曲線の理解と、changemaker格子との関係について理解を深める必要がある。
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