研究課題/領域番号 |
17K14181
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
河井 公大朗 学習院大学, 理学部, 助教 (60728343)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | モジュライ空間 / 変形理論 / dHYM接続 / dDT接続 |
研究実績の概要 |
(1)homogeneous pair の導入 昨年度は、多くの幾何構造のモジュライ空間にはヘッセ多様体の構造が入ることから、ヘッセ多様体の幾何構造を調べた。今年度は、ヘッセ多様体のあるクラスを含む homogeneous pair という概念を導入し、定曲率計量が入るための条件、測地線、完備化について調べた。これにより、より多くの幾何構造のモジュライ空間の幾何構造を明らかにした。特に、コンパクトリーマン多様体上のリーマン計量の全体の空間の完備化に関する Clarke-Rubinstein の結果を拡張することに成功した。またG2構造のモジュライ空間には、2つの自然な計量があることが知られているが、これらの完備化はそれぞれ異なることを示せた。
(2)dHYM, dDT接続の変形理論 deformed Hermitian Yang-Mills(dHYM)接続とは、特殊ラグランジュ部分多様体のミラー対称性における対応物である。deformed Donaldson-Thomas (dDT)接続とは、(co)associative部分多様体のミラー対称性における対応物である。昨年度は、東京理科大学の山本光氏との議論により、dHYM接続のモジュライ空間は第一ベッチ数次元の滑らかな多様体になることを示した。今年度はこれを発展させ、新しいエルミート構造、G2構造を導入することで、どちらの変形も canonical complex とよばれる楕円形複体の部分複体で記述できることを示した。また、G2構造を摂動するとdDT接続のモジュライ空間は第一ベッチ数次元の滑らかな多様体になることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
同時非特異化の理論の発展はできなかったが、ミラー対称性において部分多様体とその上の接続のペアに相当する dHYM, dDT接続の変形理論を構築することができた。
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今後の研究の推進方策 |
ミラー対称性から、(エネルギー汎関数のような)dHYM,dDT接続に対する自然な汎関数を考える。そして、その汎関数が一様に有界な列をとったとき、どのような特異なdHYM,dDT接続が極限として現れるか研究する。
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