研究課題/領域番号 |
17K14185
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
久本 智之 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 助教 (00748345)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ファノ多様体 / ケーラー・アインシュタイン計量 / 安定性 / モンジュ・アンペール方程式 |
研究実績の概要 |
ファノ多様体がケーラー・アインシュタイン計量を持つこととD準安定であることとは同値である。D安定性は多様体を退化させたときその様子を記述するD不変量が正であるという条件で定義される。多様体が不安定なときは、D不変量を最大にするような退化が存在すると考えられる。このような最適退化に関してT. C. Collins氏(Harvard University)、高橋良輔氏(東北大学) と共同研究を行った。特に、ケーラー計量が満たす時間発展方程式を新たに導入し、時間大域解の存在を示した。inverse Monge-Ampere flowと名付けた新しい方程式は、解のアプリオリ評価に最大値原理が使えないといった新しい困難を伴う。この点を、Kolodziejの評価式やSkodaの可積分性補題といった多重ポテンシャル論の高度な結果を用いることでクリアしており、技術的にも興味深い点を含んでいることが分かった。また、トーリックファノ多様体の場合を詳しく調べ、解の極限が実際に最適退化を与えることを明らかにした。現在はさらに一般のファノ多様体について微分方程式と最適退化の関係を調べている。
安定性と自己同型群の関係については、伊藤敦氏(名古屋大学)、四ッ谷直仁氏(香川大学)とセミナーを行った。Darvan-Codogniがこの問題を解析する為に導入したフィルトレーションの定義が間違っていることが分かり、正しい定義を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ファノ多様体の最適退化を与えると期待していた微分方程式を、共同研究者の助けもあり、実際に解くことができた。さらに、一般のファノ多様体についてもかなりはっきりとした見通しが得られた。 安定性と自己同型群の関係についても、基本的な部分で進捗があった。
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今後の研究の推進方策 |
一般のファノ多様体に対する最適退化の構成はまだ多くのことが分かっていない。これについては、極小モデル理論などを用いた代数幾何学的な構成と、幾何学的量子化を用いた漸近解析的構成の2側面から研究を進めていきたい。また、ケーラー・アインシュタイン計量に纏わる新しいテーマを、特に数理物理学との関わりから探っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に予定していた備品(ノートパソコン)購入を延期したため次年度使用額が生じた。次年度で当該備品を購入する。
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