研究課題/領域番号 |
17K14186
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松尾 信一郎 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (40599487)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 微分幾何 / ゲージ理論 / 四次元多様体 / 双曲計量 / シンプレクティック構造 |
研究実績の概要 |
コンパクト四次元双曲多様体にシンプレクティック構造が入らないと予想されている.その根拠は二つある.一つは,調和写像の議論により,コンパクト四次元双曲多様体にはいかなる可積分シンプレクティック構造も入らないと示されていること.もう一つは,アームストロングにより,コンパクト四次元双曲多様体にはその双曲計量に整合的なシンプレクティック構造は入らないと示されていること.この予想をザイバーグ=ウィッテン理論により示すことが本研究計画の最終目標である.具体的には,コンパクト四次元双曲多様体のザイバーグ=ウィッテン不変量の消滅定理を示す. より詳しい議論の流れは次の通り.まずはコンパクト四次元双曲多様体のザイバーグ=ウィッテン不変量が自明であることを示す.一般に,シンプレクティック多様体のザイバーグ=ウィッテン不変量は非自明である.従って,コンパクト四次元双曲多様体にはシンプレクティック構造が入らない! さて,本研究計画の最大の目的はコンパクト四次元双曲多様体のSW不変量の消滅定理であるが,その証明の計画の第一歩は自己双対調和形式のノルムにより共形変換された特異計量に対するSW方程式の理論を構築することであった.そのためにはモジュライ空間のコンパクト性を示すことと普通のモノポールのモジュライ空間とのコボルディズムを構成することが必要となる.今年度はモジュライ空間のコンパクト性は証明できた.副産物として,TaubesによるVafa-Witten方程式の解析のある部分の簡易化もできた.また,普通のモノポールのモジュライ空間とのコボルディズムの構成も完成に近づいている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画での初年度の目標は二つあり,その一つは完全に達成でき,もう一つもほぼ完成している.また,副産物として当初の研究計画になかったことも示された.よって,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今のところ,研究計画に記述したことをそのまま実行する予定である.すなわち,まずはモジュライ空間のコンパクト性の証明を完成させ,次にアインシュタイン=ヒルベルト汎関数の挙動を研究する.
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次年度使用額が生じた理由 |
独立基盤形成支援にも採択された故に,当初こちらで購入予定であったパソコンなどをそちらで購入したから.
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