研究成果その1:2017年度に得られた2つの結果「4次元球面におけるあるポワソン構造のなす空間の決定」と「複素接触多様体における交代ベクトル場の分解定理、及びそのコホモロジーの消滅定理」について発表、講演を行った。特に「複素接触多様体における交代ベクトル場の分解定理、及びそのコホモロジーの消滅定理」についての論文がInternational Journal of Mathematicsにおいて2018年12月に掲載された。講演においてはこのポワソン構造の具体例におけるランクの考察の重要性の指摘などの研究の新しい問題に繋がる指摘をもらった。ポワソン構造は交代2ベクトルにより定まる。交代ベクトル場は微分形式の双対であり本研究の「微分形式により特徴付けられる幾何構造」を拡張した対象であることからその集合や変形を考えるのは本研究の目的に即している。また、4次元多様体における幾何学構造は数学のみならず物理学的にも非常に重要な研究対象であると捉えられており、様々な分野への応用、関係性の発見が期待できる。
研究成果その2:4次元球面は四元数ケーラー・アインシュタイン多様体の最も基本的かつ重要な例である。我々が用いた手法であるツイスター空間の技法は四元数ケーラー・アインシュタイン多様体においても適応可能であることに着目し、上記の「4次元球面におけるあるポワソン構造」の結果の四元数ケーラー・アインシュタイン多様体(スカラー曲率が非零)への拡張を考察した。そこでいくつかの結果を得られた。
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