本研究では,DNAのトポロジーを変える酵素の作用の解明などに応用するために,3次元多様体及び結び目のトポロジーの研究,特に曲面を用いたトポロジーの研究を行い,主に次に挙げる成果を得た。複製DNAの絡み目解消に関して,タイプIIトポイソメラーゼの反復作用によるものと部位特異的組換えの反復作用によるものそれぞれについて特徴づけを与えた。従来の研究よりも弱めた仮定のもとで,比較的単純な基質からの絡み目解消の経路をすべて決定した。また,一般の場合は最初の絡み目解消から得られる生成物をすべて決定し,さらにその作用がトポロジーの観点で唯一つであることを示した。
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