研究課題/領域番号 |
17K14208
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
貝塚 公一 日本医科大学, 医学部, 講師 (30737549)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 対称空間 / ディラック作用素 / スペクトル / 表現論 |
研究実績の概要 |
平成29年度は,非コンパクト型対称空間上のディラック作用素の連続スペクトルの構造について研究を行った.非コンパクト型対称空間のランクが1である場合には,2001年に Camporesi&Pedon により,ディラック作用素の連続スペクトルの構造が決定されている.そこで,当該年度は研究の足掛かりとして,ランクが2のいくつかの非コンパクト型対称空間上でディラック作用素の連続スペクトルの構造を対称空間の具体性を生かした解析により決定した.ディラック作用素の一般論では得られていない非自明な結果を得たことは解析と幾何の両分野において意義がある.しかし,結果自体は新しいことではあるが,具体例としては数が少なく研究の結果を発表できる段階ではない. 一方で,関連する研究実績として,対称空間上の不変微分作用素の実かつ特異なスペクトルに付随する同時固有関数の特徴づけという結果に関する論文「A characterization of the L2-range of the Poisson transform with real and singular spectral parameter on symmetric spaces of noncompact type」の掲載が決定し,海外の学術専門誌「Journal of Lie Theory」に電子的に論文が出版された(紙媒体での論文の出版は平成30年度).また,当該論文の結果について,国内において招待講演によりいくつかの成果発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
非コンパクト型対称空間上のディラック作用素の連続スペクトルの決定について,申請時の研究計画で想定していたよりも各リー群の型に対する各論的な取り扱いが必要であることが研究の過程で判明し,統一的手法への足掛かりがいまだに得られていないため.
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今後の研究の推進方策 |
より多くの古典型リー群に付随する非コンパクト型対称空間上のディラック作用素の連続スペクトルの構造を各論的に決定し,その過程でスペクトルの統一的な解析が可能か否かについて考察する.また,連続スペクトルの構造を決定する過程で得られる解析の手法を用いてディラック作用素のレゾナンスの解析に応用する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度3月の旅費の支出分が当該年度予算の枠を超えてしまった為,当該助成金を翌年度分に繰り越して次年度予算と合わせて前年度分の旅費を決済する.
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