非コンパクト型対称空間上のディラック作用素の連続スペクトルの構造の解析について研究を行った.対称空間に付随する制限ルート系が偶数重複度条件を満たす場合,および実特殊線形リー群に付随する対称空間などのいくつかの系列に対してディラック作用素の連続スペクトルを表現論を用いて決定し,研究課題を部分的に解決した.また,対称空間に付随する制限ルート系が偶数重複度条件を満たす場合に,ディラック作用素は複素レゾナンスを持たないことを示した.一方で,主系列表現に付随する同時固有関数に対する散乱理論と, スピンを持たない自由な量子力学的粒子の運動を記述するラプラス-ベルトラミ作用素に対して散乱理論を構築した.
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