研究課題/領域番号 |
17K14220
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
平山 浩之 宮崎大学, テニュアトラック推進機構, 講師 (90748328)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 非線形分散型方程式 / 初期値問題 / 適切性 / 共鳴構造 / Schrodinger方程式 / Zakharov-Kuznetsov方程式 / Burgers方程式 |
研究実績の概要 |
本年度は主に、1階の微分を含む非線形項を持つ3本の非線形シュレディンガー方程式からなる連立系(以下、NLS系)の適切性について調べた。このNLS系はレーザーとプラズマの相互作用を記述するモデルとしてM. Colin, T. Colin (2004)によって導出されたものであり、線形部分の係数の値によって共鳴構造が異なることが、先行研究(H. Hirayama (2014))で分かっている。特に、共鳴が生じないような係数の場合にはスケール臨界指数での適切性が得られているが、共鳴が生じる場合にはまだ最良の結果が得られていなかったため、本研究ではその点について考察した。 NLS系の共鳴構造は、時間と空間両方向の振動において同時に共鳴が生じる場合(以下、強共鳴)と、時間方向の共鳴と空間方向の共鳴が同時には生じない場合(以下、弱共鳴)がある。強共鳴の場合には得られる平滑化効果が弱いため、エネルギー空間よりも低い正則性では逐次近似が破綻することが先行研究で得られている。本研究では、弱共鳴の場合にNLS系の線形部分から決まる3つの曲面が横断的に交わることに着目し、I. Bejenaru, S. Herr, D. Tataru (2010)によって示された非線形Loomis-Whitney型評価式を用いることで、最良のソボレフ指数における適切性を得ることに成功した。(木下真也氏との共同研究) また、NLS系が球対称な形に書き換えられることに着目し、球対称な初期値に対して弱共鳴、強共鳴の場合の適切性の結果を改良することが出来た。(木下真也氏、岡本葵氏との共同研究)特に、2次元で球対称な初期値に対する最良指数が1次元の最良指数よりも低くなるという興味深い結論が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NLS系に対して、弱共鳴の場合に既存の結果を最良のものに改良することが出来たため、本研究によって非共鳴、弱共鳴、強共鳴の差が明らかになった。さらに、NLS系を球対称な形に書き換えるという試みは、本研究における独自性の一つであり、その結果として球対称な初期値に対する興味深い結果も得られた。 弱共鳴の場合のNLS系についての結果は既に論文が出版されており、球対称の場合のNLS系についての結果は論文を投稿中である。また、前年度の研究において得られたZakharov-Kuznetsov-Burgers方程式(以下、ZKB方程式)の適切性についての結果は、既に論文の出版が決定している。 以上のことから、ここまでの状況は順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
ZKB方程式については、適切性の結果で時間大域解の存在も得られたため、今後は解の挙動についての考察を行う。既に線形解の挙動については考察を行い、1次元の場合とは異なる振舞いが見られている。これ以降は非線形の解について詳細に考察を進めていきたい。 NLS系については、これまでの研究では高周波同士の相互作用による共鳴のみが生じる場合しか扱っていない。一方、高周波と低周波の相互作用による共鳴が生じる場合の適切性については、まだ最良の結果が得られていない。そこで、今後の研究ではこの点について既存の結果の改善を試みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は研究成果の発表や研究打合せのための出張費、研究集会開催における講演者の招聘費、および物品購入により、ほぼ計画通りに助成金を使用出来た。若干の残高(2037円)が生じたのは、使用額が交付額を超えないように注意したためである。 翌年度も研究成果の発表や研究打合せの機会が多くなることが予想されるため、助成金は主に出張費に充てる。また、本学において研究集会「数学と現象」および「PDE Workshop in Miyazaki」の開催が予定されているため、講演者の招聘費にも充てる予定である。
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