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2018 年度 実施状況報告書

不確定特異点の代数学、幾何学、解析学とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 17K14222
研究機関城西大学

研究代表者

廣惠 一希  城西大学, 理学部, 准教授 (50648300)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード不確定特異点 / 特異点の合流 / ルート系
研究実績の概要

不確定特異点を確定特異点からの合流として考える事で,比較的解析が容易な確定特異点でのモノドロミーの構造や接続問題用いて不確定特異点の解析的性質を確定特異点の極限としてが理解できる.不確定特異点の近傍では特異点の位置を摂動する事でこれは常に可能であるが,我々の目的はこれを大域的な変換として定式化する事にある.特に微分方程式の既約性やモジュライの次元を保ちながら見かけの特異点も出ないように合流操作によってFuchs型方程式から不確定特異点を持つ微分方程式を作ることが常に出来るかという問題は素朴だが明らかではない.大島利雄はこの問題を微分方程式の局所同型類のスペクトルタイプによって定式化し,この合流の問題に関わる重要な問題に関する予想を提出した.今年度はこの大島の予想の一部を解決した.具体的にはスペクトルタイプの開折という操作が大島によって導入されたが,この開折が既約な微分方程式としての実現可能性を保つことを示した.すなわち開折によって得られたスペクトルタイプが既約な確定特異点型微分方程式として実現できるならば,元のスペクトルタイプも既約な微分方程式として実現できることを示した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

大島予想の一部に肯定的な回答を与え,不確定特異点の解析学と確定特異点の解析学を繋ぐ理論の構築に道筋をつけた.

今後の研究の推進方策

大島予想を完全に解決する.予想はスペクトルタイプの既約微分方程式の実現可能性と特異点の合流との整合性,スペクトルタイプの開折を実現する微分方程式の解析的な族の存在を問題としている.問題は大きく3方向あり,一つはスペクトルタイプの開折が引き起こす組合せ論の問題,二つ目はスペクトルタイプの開折が引き起こす微分方程式のモジュライ空間の変形の問題,最後にこのモジュライ空間の変形に対する正則な切断の存在問題.この問題をそれぞれ解決して大島予想を解決し,不分岐不確定特異点型方程式とFuchs型方程式のそれぞれの解析学を橋渡しする理論を構築する.

次年度使用額が生じた理由

主催しているセミナーにおける講演者旅費を講演者自身が賄う場合が多く生じ,その分の経費が次年度に繰り越す形となった.次年度は海外出張が予定されており,また主催セミナーもより活発に開催される予定でありその分に補填する.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [学会発表] Ramified irregular singularities of differential equations and their spectral curves2018

    • 著者名/発表者名
      廣惠一希
    • 学会等名
      代数解析学の諸問題 ― 超局所解析及び漸近解析 ―
  • [学会発表] 大島予想について2018

    • 著者名/発表者名
      廣惠一希
    • 学会等名
      微分方程式と表現論
  • [学会発表] Fuchs型方程式の特異点の合流とアクセサリーパラメーターの空間について2018

    • 著者名/発表者名
      廣惠一希
    • 学会等名
      アクセサリーパラメーター研究会
  • [図書] 4-dimensional Painleve-type equations2018

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Hiroe, Hiroshi Kawakami, Akane Nakamura, Hidetaka Sakai
    • 総ページ数
      172
    • 出版者
      The Mathematical Society of Japan
    • ISBN
      978-4-86497-087-7

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公開日: 2019-12-27  

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