研究実績の概要 |
バーガーズ方程式において,1次元空間での定常解と高次元球対称問題における定常解の差異を明らかにしてきた. 特に1次元では定常解はoutflow問題の時のみ存在したが, 球対称定常解においてはinflow問題においても定常解が存在することを明らかにした. 以上の成果をもとにして圧縮性ナビエ・ストークス方程式において, 空間1次元と高次元球対称問題における定常解の存在する条件に差異があるかどうか確かめる作業を行ったのが今回の研究である.圧縮性ナビエ・ストークス方程式において, 空間1次元の場合には,境界条件と無限遠方条件の組み合わせに応じて, 様々な解の漸近挙動が考察されてきた. 空間多次元の場合は境界上における流速が静止しているという条件の下で定数自明解の漸近安定性が示されている.また, ポテンシャル外力がある場合の定常解の漸近安定性の研究も既に知られているが, 境界からの流入や流出がある場合の圧縮性ナビエ・ストークス方程式の球対称問題においては, 定常解の存在さえ知られてこなかった. そこで境界上での流速に制限はあるが, 定常解の存在について証明を与えた. (大阪大学の松村氏との共同研究) 手法としては,圧縮性ナビエ・ストークス方程式の球対称問題を積分方程式に変換し,さらに適当な関数空間を設定し,積分方程式に不動点定理を適用して定常解の存在を明らかにした.さらに定常解の減衰レートも同時に導出した.またinflow問題においては境界層解が存在することも明らかにした.
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