研究課題/領域番号 |
17K14232
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
西 遼佑 鳥取大学, 工学研究科, 講師 (10727093)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 交通渋滞 / 渋滞伝播予測 / 渋滞吸収運転 |
研究実績の概要 |
渋滞後方流が均質な場合において,二段階渋滞吸収運転(He et al., IEEE Trans. Intell. Transp. Syst., 2017)に渋滞伝播予測を組み込み,渋滞が完全に形成される前に渋滞吸収運転を開始しても渋滞(より正確には1個のwide moving jam)を除去できるかどうかを数値シミュレーションで検証した.ここで,二段階渋滞吸収運転とは,まだ渋滞先頭の伝播速度を取得する前に,事前に設定した渋滞先頭の伝播速度に従って渋滞吸収運転を開始し,その後,渋滞先頭の伝播速度を取得してから渋滞吸収運転の速度を変更するという渋滞吸収運転である.この二段階渋滞吸収運転には,渋滞伝播予測が組み込まれていないという問題点があったので,渋滞伝播予測を組み込んだ.渋滞伝播予測方法としては,車をセンサーとして用いて渋滞先頭の伝播速度を割り出した.交通流モデルとしては,追従モデルを用いた.また,道路としては,ボトルネックのない単車線道路を用いた.交通流の初期状態としては,一様な車間距離かつ一様な速度で走行している隊列の流れに設定した.渋滞は,先頭車のじょう乱によって発生させた.得られた結果としては,渋滞伝播予測付き二段階渋滞吸収運転で渋滞を除去可能なパラメータ領域が存在することを見出した.ただし,結果は渋滞伝播速度の事前設定値に大きく依存した.また,渋滞伝播速度を取得した後に開始する通常の渋滞伝播予測付き渋滞吸収運転と,この渋滞伝播予測付き二段階渋滞吸収運転を比較検証した.ただし,基礎的な比較検証であったため,今後のより詳細な検証が期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では,1年目に渋滞安定後に開始する渋滞伝播予測付き渋滞吸収運転を,2年目に渋滞安定前に開始する渋滞伝播予測付き渋滞吸収運転を予定していたが,1年目は2年目の計画を前倒しして実施することができた.すなわち,二段階渋滞吸収運転を用いて,渋滞安定前に開始する渋滞伝播予測付き渋滞吸収運転を検証することができた.ただし,渋滞が安定するまでの渋滞伝播速度の時間変化を渋滞吸収運転に取り込むことは1年目では実施しなかった. なお,道路上の感知器をセンサーとして用いる場合については,時間の都合で実施しなかった.ならびに,道路上の感知器と車の両方を組み合わせてセンサーとして用いる場合についても,多くの時間を要すると予想されたため,実施しなかった.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,2年目の計画である初期渋滞の挙動を組み込んだ渋滞伝播予測付き渋滞吸収運転に着手したい.また,3年目の計画である渋滞後方流が不均一な場合における渋滞伝播予測付き渋滞吸収運転に取り組みたい.また,渋滞伝播予測付き渋滞吸収運転において,より重要だと思われる課題が出てきたら,その課題を実施したい.例えば,渋滞の種類として,渋滞先頭と最後尾が上流へと伝播するwide moving jamだけでなく,渋滞先頭が移動しないsynchronized flowに対しても,渋滞伝播予測付き渋滞吸収運転による除去を目指したい.実施する順序については,上記のうちで重要と考えられるものから実施していきたい.
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