研究課題/領域番号 |
17K14234
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
原本 博史 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (40511324)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 擬似乱数 / 統計的検定 / モンテカルロ法 |
研究実績の概要 |
擬似乱数生成法に対する統計的評価法として、NIST SP800-22およびTestU01は最も有名な検定パッケージである。本研究では、奥富秀俊氏・中村勝洋氏の提唱した三重検定を用いて、統計的検定が適切な精度でp値を出力できているか、実験的に評価する手法の開発とその妥当性を検証し、SP800-22およびTestU01に適用し具体的な改善方法を提唱した。とくにSP800-22は15種類すべての検定について、個々の検定に対する最新の改善手法が有効であることをシミュレーションによって示すことができた。TestU01に関しては、この研究により初めて本格的な信頼性調査を実施することができ、これまで未発見であった8つの検定法の誤りを発見し、そのうち4つの検定法については数学的・実用的観点から修正を施すことができた。これらの研究成果について広島大学の松本眞教授と共著論文を作成したところ、査読付き論文誌Mathematics and Computers in Simulationに採録された。また、本研究を基として、64ビット擬似乱数生成法に対応するTestU01の後継パッケージの開発を、提唱者のカナダモントリオール大学の研究チームと開始することとなった。
さらに、2017年度に実施した、NIST SP800-22の二重検定における第2段階のサンプルサイズ上限の決定に関する研究の続きとして、これまで研究を行なった3種類の検定に加えて、新たに6種類の検定法についても上限を与えることができた。特に総当たり法では上限計算が不可能なものに対しては、モンテカルロ法による近似計算により、比較的小さいサンプルサイズで実用上十分な精度の上限を与えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NISTSP800-22についてはすべての検定について、その検定の妥当性を検証することができた。特にRandom Excursions検定およびRandom Excursions Variant検定については三重検定による解析の結果、NISTが推奨するサイクル数の最小値500では検定結果のp値に偏りが見られることと、その最小値を2000程度まで大きくすれば十分な精度でp値の計算が可能であることを実験的に示すことができた。また離散フーリエ変換検定も、様々な指標で提唱された改善案を統一した尺度によよって評価し、最新の研究成果が最もよいパラメータを与えていることが判明した。TestU01についても100種類中70種類の検定法について評価が完了したことで、64ビット対応にむけての契機となる研究が実施できた。
当初計画していた三重検定プログラムのコード公開については遅れているものの、二重検定のサンプルサイズに関して、これまで本研究課題で対象とした3種類の検定に加えて新たに6種類の検定について適切な上限を与えることに成功した。またモンテカルロ法を用いたp値の分布計算によってサンプルサイズの上限を近似計算しても、実用上十分な値を与えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、TestU01の64ビット版の開発、およびNISTの二重検定のサンプルサイズ上限に関する研究を行う。前者に関してはモントリオール大学を3週間程度訪問して開発を行うことと、現在未検証の離散型確率分布に従う統計量を用いた検定の三重検定による実験的評価を行う。後者に関しては7月にシドニー工科大学で開催される国際研究集会MCM 2019の擬似乱数分科会において口頭発表を行う。さらに、現時点で上限計算を実施していない6つの検定についても、数値実験を試みる予定である。
また、時間的余裕があれば、物理・化学シミュレーションで用いられるソフトウェアに実装されている擬似乱数生成法について、高速化・高精度化・並列化という観点から高性能化を実現するためのプログラム開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であった計算機の発売がなかったこと、業務上の都合により参加予定であった出張を取り消したことにより、当初予定していた使用額を必要としなかったため、次年度使用額が生じている。一方、2019年度は、研究計画当初予定になかった海外出張を2件予定しており、計算機環境も整備する必要があるため、これらに使用する予定である。
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