研究課題
1. 近年多くのブラウザなどで標準採用されている擬似乱数xorshift128+について、排他的論理和と算術的和の類似性に注目することで3次元での偏りを正確に記述し、シミュレーションに大きな悪影響を与える欠陥があることを証明した。この成果は、応用数学分野では著名な論文誌Journal of Computational and Applied Mathematicsに掲載された。2. ラグ付きフィボナッチ生成法は擬似乱数生成法として古典的なものであり、今でもシミュレーションソフトの標準疑似乱数として採用されている。ラグ付きフィボナッチ生成法については下位ビットの乱数性の悪さが知られていたが、上位ビットに関する具体的な研究は統計的検定によるものが主であった。そこで符号理論に現れるMacWilliams恒等式を用いて特定のビットの0-1分布を正確に求める研究を発展させ、計算が困難な上位ビットにおける重み数え上げ多項式を重みの小さい項のみで近似した多項式を用いて0-1分布を求める実験を行った。その結果、乖離の度合いを図るカイ二乗ディスクレパンシーを近似多項式でも十分な精度で計算できることが実験的に判明した。統計的検定においても、この近似でシミュレーションに悪影響を与えるサンプルサイズをほぼ正確に見積もることが確認できた。現時点では実験的な研究に留まっているため、理論的解析と重みの小さい項が乱数性に与える影響の定量化を目指して研究を継続中である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Journal of Computational and Applied Mathematics
巻: 402 ページ: 113791~113791
10.1016/j.cam.2021.113791