研究課題/領域番号 |
17K14239
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
野口 健太 東京理科大学, 理工学部情報科学科, 講師 (50748613)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | グラフ理論 / 閉曲面 / グラフ彩色 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、交付申請書に記載した「平成30年度の研究実施計画」における「(B) 5-染色的な局所平面的三角形分割の構造の決定」の遂行のため、三角形分割と類似した構造を持つ1-平面的グラフと呼ばれるグラフの族についての研究を主体的に行った。 主な研究の方向性は二つあり、1.1-平面的グラフにおけるハミルトン閉路の存在、2.k-連結1-平面的グラフにおける連結度の高い全域平面部分グラフの存在、である。まず1について、「任意の7-連結最大1-平面的グラフはハミルトン閉路を持つ」という既存の定理における連結度について、最善の値となる4に改善することができた。すなわち、「任意の4-連結最大1-平面的グラフはハミルトン閉路を持つ」という定理を証明した。この結果に関する論文を執筆し、現在投稿中である。また2について、各kの値それぞれに対し部分的な結果を得ることができ、現在論文を執筆中である。 以上の研究成果について、国内の研究集会では、2018年8月に広島にて開催された離散数学とその応用研究集会、9月に岡山大学にて開催された日本数学会などで発表を行った。また10・11月に続けて日本で開催された国際会議へ参加しそれぞれ発表を行い、12月に中国の上海にて行われた国際会議 SCMS Workshop on Extremal and Structural Graph Theory へ参加し情報収集し、さらには2019年3月に慶應義塾大学において第15回組合せ論若手研究集会の開催に世話人として携わり、国内外の研究者との交流・情報交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度と同様に、部分的な結果ではあるが具体的な成果が得られ、全体的に見ておおむね順調に進展していると言える。 閉曲面上の三角形分割の解析について大きな進展はないものの、1-平面的グラフの研究が進展したことにより、「研究の目的」達成のための、申請書に記載した方法と異なる手法の解明が進展している。とくに全域平面部分グラフに関する研究は平面三角形分割の解析に繋がる可能性が高く、目的達成のための糸口が増加している。 また昨年度から新潟大学の鈴木有祐准教授との共同研究が進展している中で、今年度から慶應義塾大学の太田克弘教授も加わり、多角的な視点から研究が行われている(「研究実績の概要」で述べた、執筆中の論文の内容)。
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今後の研究の推進方策 |
概ね交付申請書に記載した通りに研究を推進する。 加えて今年度新たに進展した手法、とくに1-平面的グラフに関する研究にも重点を置き、国内外の研究者との積極的な情報交換を持続しながら研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はほぼ計画通り研究費を使用することができ、昨年度の未使用額がそのまま次年度使用額となった形である。参加した国際学会が中国開催であったため、外国旅費が予定より少額となったことも影響している。 次年度は今年度と同様に研究経費に余裕がある状態であるため、旅費に多く充てる予定であるが、特段経費の使用計画に変更はない。
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