研究課題/領域番号 |
17K14239
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
野口 健太 東京理科大学, 理工学部情報科学科, 講師 (50748613)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | グラフ理論 / 閉曲面 / グラフ彩色 |
研究実績の概要 |
令和元(2019)年度は、交付申請書に記載した「研究の目的」の(A)における予想2(Kundgen and Ramamurthi予想)の解決へ向けて、三角形分割と四角形分割の関係性についての研究を主体的に行った。 とくにグラフの染色数の観点から、三角形分割を3-彩色可能なものとそうでないもの、四角形分割を2-彩色可能なものとそうでないものにそれぞれ分類し、それぞれの族における拡張問題と部分グラフの関係について考察し、一部結果を得た。2019年7月に、一般の閉曲面上において3-彩色可能な三角形分割へ拡張できる四角形分割の必要十分条件を与えた論文が、SIAM Journal on Discrete Mathematics に掲載された。またその内容の周辺の研究も進み、閉曲面上のグラフの因子に関する結果や向き付けとそれから得られる彩色に関する結果も得た。 以上の研究成果について、2019年11月に韓国の済州島にて開催された国際会議 The 2nd East Asia Workshop on Extremal and Structural Graph Theory で招待講演を行った。これは昨年度11-12月に中国の上海にて開催された国際会議 SCMS Workshop on Extremal and Structural Graph Theory の続きの会議であり、一年ぶりに会う国外の研究者と有益な情報交換を行うことができた。 国内の学会・研究集会では、2019年11月に横浜国立大学にて開催された第31回位相幾何学的グラフ理論研究集会で発表を行い、9月に金沢大学にて開催された日本数学会秋季総合分科会などで情報収集を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究が広がりを見せ、本研究課題と様々な問題との関係性も徐々に明らかになっており手ごたえを感じているためである。 閉曲面上の三角形分割と四角形分割の解析について、昨年度進展した1-平面的グラフの研究、今年度進展した因子や向き付けに関する研究など、申請書に記載した研究実施計画とは異なる手法の解明が進展している。また申請書に記載したもの以外の問題への波及効果もあり、今後の研究の方向が広がっている。論文の掲載・投稿状況も良好で学会発表・研究打合せも適切に行うことができており、おおむね順調に進展していると言える。ただし新型コロナウイルスの影響で、発表・情報収集のため予定していた年度末の国内出張が全て中止となったことも付記しておく。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は本研究課題の最終年度であるため、これまでの研究のまとめに入る。 1.研究の目的(A)「局所平面的グラフに対する彩色の未解決問題の解決」について、完全解決は難しいかもしれないが、これまで得られた部分的結果を整理し、結果が拡張できそうなグラフの族を推定する。また部分的解決に用いた解決手法が、ほかの問題へ適用できる可能性も考慮に入れて手法自体の研究も進めたい。 2.研究の目的(B)「5-染色的な局所平面的グラフの構造の決定」について、こちらは進展があまりないが、染色数の観点から得られた1の結果と2の関係について考察を行いまとめたい。 3.新たに得られた解決手法や研究課題について、関連する情報の収集を行いながら研究を進める準備を始めたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
発表・情報収集のため年度末に予定していた国内出張が、新型コロナウイルスの影響で全て中止となり、旅費の支出が予定よりも減ってしまったため。 翌年度はそれに応じて国外(スロベニア)・国内出張に多くの旅費を充てる予定であるが、こちらも開催されるかどうかまだわからない状況である。
|