研究実績の概要 |
本年度に具体的に得られた研究成果としては、主に次の点が挙げられる: (1)Iki, Sato and Tomizawa (2018)では二元分割表に対して倹約な独立モデルを定義し、定理「倹約な独立モデルが成り立つための必要十分条件は、倹約な線形線形連関モデルと相関係数(PearsonやKendallのタウ、Spearmanのロー)が0という構造の両方が成り立つことである」を与えた。さらに定理「倹約な独立モデルに対する尤度比カイ二乗統計量が、倹約な線形線形連関モデルに対する統計量および相関係数が0の構造に対する統計量の和に漸近的に同等である」も与えた。 (2)Iki and Tomizawa (2018)では正方分割表の潜在分布として、2変量対数正規分布が想定されるときに当てはまりの良いモデルを提案した。さらに提案モデルを用いて対称モデルの分解定理を与えた。対数正規分布の乱数を用いたシミュレーションにより、提案モデルがどのような条件下で当てはまりが良いかの検証を行った。 (3)Iki and Tomizawa (2018)では正方分割表に対して対称モデルからの隔たりを測る尺度を提案した。先行研究と提案尺度の異なる点は、主対角セルの情報を尺度に反映させることが可能な点である。提案尺度に対してデルタ法を用いて正規近似を行い、近似の信頼区間を導出した。さらに人口データを用いて先行研究との尺度のふるまいの比較を行った。 (4)Iki (2018)では正方分割表を45度回転させたダイヤモンド型の表に対して、共分散が0であるという構造を定義し、定理「ダイヤモンドモデルが成り立つための必要十分条件は、一様連関ダイヤモンドモデルおよび共分散が0であるという構造の両方が成り立つことである」を与えた。
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