研究課題/領域番号 |
17K14243
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
及川 一誠 早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員(研究院助教) (10637466)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 数値解析 / 有限要素法 / 不連続Galerkin法 |
研究実績の概要 |
Hybridizable Discontinuous Galerkin (HDG)法の新手法を提案し,数学解析を行った.提案手法は,弱定式化時に行う部分積分から生じる全ての要素境界積分項において,数値トレースの近似空間への$L^2$直交射影を導入することにより得られる.これはLehrenfeld-Schoberlらにより提案されたHDGスキームの拡張になっている.彼らのHDGスキームにおいて,勾配の近似多項式を上げすぎると超収束というHDG法特有の良い性質が失われるということを申請者は発見しており,提案手法はこの欠点を解消するものである.Poisson方程式をモデル問題として,提案手法が超収束することを数学的に証明することができた.これらの一連の結果は,査読付き雑誌に掲載決定済みである.当該論文には記載しなかったが,定常移流拡散方程式に対しても,提案手法が超収束することは数値実験で確認している.したがって,提案手法は2階の楕円型問題に対して有効であると考えられる. 滑り境界条件のStokes方程式のペナルティ法の有限要素法の研究も並行して行った.有限要素法において,滑り境界条件の素朴な離散化は上手くいかないことが知られている.申請者並びに共同研究者は,これを克服するために,ペナルティ有限要素法を提案している.今年度は時間非定常のStokes方程式に対して,数学解析を行い,一定の成果を得た.また,ペナルティ法の離散化として,Crouzeix-Raviart非適合有限要素法が適合有限要素法よりも有効であることが判った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HDG法の新スキームを得るという研究目的が部分的に達成され,それに関する論文も掲載決定になった.さらに,滑り境界条件のペナルティ有限要素法についても,論文が出版された.以上より,本研究課題は順調に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
数値流束などの数値トレース以外の量を未知変数としたHDG法の新しいスキームの開発及び数学解析を行う.さらに重調和方程式に対して,超収束するHDG法の研究も並行して行う.特に,二階微分に関して超収束する新スキームの開発を目指す. 滑り境界値問題のペナルティ法に関するCrouzeix-Raviart非適合有限要素法の研究も継続する.
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であった一部の計算機等の購入を見送ったため,次年度使用額が生じた.次年度の物品日及び旅費に充当する予定である.
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