研究実績の概要 |
研究計画A,Bについては、観測により新しく見出された原始惑星系円盤中の局所的なミリ波放射について、投稿していた論文が受理された。この構造は、形成中の惑星に起因した集積ダストの構造だと思われ、世界で初めての検出例となる極めて重要な成果である。また、円盤ガス成分について得られた観測成果と化学モデル計算との比較を進めた。観測によって得られた複雑な分子分布は、円盤構造により中心星からの紫外線照射が影響を受けたことを示しており、またガス分布にはダスト同様のギャップ構造があることも示唆された。現在、これらの結果の論文化を進めている。研究計画Cでは、化学反応計算を含めた輻射輸送計算の構築を進めた。放射輸送計算ツールRADMC3Dの理解と応用を進め、それを用いた論文出版につなげている。また惑星大気成分を調べる観測も進め、多角的な視点で化学反応に対する知見を得た。研究計画Dでは、アーカイブデータを用いた高分解能・多波長観測のデータ解析を進め、円盤内ダストサイズ分布に関する知見を与えた。従来行われていた手法の評価を含め、より確度の高い導出につなげており、結果は間も無く投稿予定である。また、電波放射散乱という新しい観点を取り入れることで、別視点からの円盤ダストサイズへの知見を得ることもできた。予定されていたTWHyaの偏光観測は望遠鏡トラブルにより未実行であるが、解析手法の向上や多様な視点から解釈を行う目的で、様々な天体の円盤偏光観測の成果を出している。研究計画Eでは、priismと呼ばれる画像生成ソフトがALMAデータ解析ソフトCASAに実装され、そのコミッションニングを通して開発/応用を進めてきた。原始惑星系円盤への応用例を示した論文を投稿・受理された。着目している天体TWHyaの円盤への応用も進めているが、観測データ量が多いこともあり、アルゴリズムの高速化への対応が必要となっている。
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