研究実績の概要 |
2019年度は超高輝度超新星爆発のパルサー駆動モデルの多波長電磁波カンターパート理論モデルの精緻化と電波フォローアップ観測による検証を行った。
前者に関してはOmand et al. 2019において、パルサー駆動型超新星残骸におけるダスト形成、破壊、光吸収、再放射過程を計算する理論モデルを作った。パルサー星雲放射の影響下におけるダスト形成、破壊を解いたのは世界初である。この研究の結果、超高輝度超新星爆発のピーク時の放射と爆発後2-5年の近赤外ダスト放射の情報を組み合わせることで、中心エンジンである中性子星の回転、磁場などのパラメータを有意に制限できることが示された。
後者に関してはLaw et al. 2019において、過去およそ10年以内に発見されたI型超高輝度超新星の残骸をThe Karl G. Jansky Very Large Arrayを用いてフォローアップ観測を行い、パルサー駆動型モデルのスモーキングガンとして我々が過去の研究(Kashiyama & Murase 17; Omand, Kashiyama, Murase 18)で予言した電波帯のパルサー星雲放射の探索を行った。また、同時に、高速電波バーストの探査も行った。結果、PTF10hgiの残骸からモデルの予言と無矛盾の電波放射を検出した。これにより、少なくともこの超高輝度超新星については生まれたてのパルサー星雲がエネルギー源であったという強い示唆が得られた。なお、高速電波バーストの検出には至らなかった。
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