研究課題
今年度は、申請者の京都大学への異動があった。また、2019年より新技術光赤外線望遠鏡「せいめい」の本格的な運用が開始された。これに伴い、我々はせいめい望遠鏡を用いた超新星爆発の即応フォローアップ観測の計画を立案した。近年の広視野サーベイの発達に伴い、非常に早期の増光段階にある超新星爆発が発見されるようになりつつある。発見直後の超新星をすぐにフォローアップ分光観測することで、早期からのタイプの同定が可能となった。このような状況を背景として、我々は京都大学せいめい望遠鏡と広島大学かなた望遠鏡を用いた即応分光観測を実施している。それらの中で、SN 2019einというIa型超新星について僅か爆発3日後のスペクトルをせいめい望遠鏡で取得することができた。その後、せいめい・かなたで継続観測を実施したところ、急激な速度変化を示したことがわかった。これまで、よく研究されているIa型超新星と比較したところ非常にユニークな進化を示すことがわかった。また超早期の放射強度からある仮定の下に親星半径の上限値を見積もったところ、白色矮星と通常の恒星の近接連星系由来に爆発に一致することがわかった(Kawabata et al. 2020, 893, 143)。この研究では、長期の近赤外線観測も実施された。優位な超過成分を見出すことはできなかったが、赤外放射を引き起こす可能性のある星周ダストの性質を研究する上で重要なデータとなった。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (3件)
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