研究課題
本研究では継続時間の長いガンマ線バースト(GRB)の起源天体の性質を母銀河観測と銀河モデルの比較によって明らかにし、さらに GRB 残光の 様々な波長での光度分布とその時間変化を解明する。これらの性質を踏まえて GRB 観測から高赤方偏移宇宙で の星・銀河生成を調べることが目標である。今年度は様々な望遠鏡で取得された GRB 母銀河の観測データを収集・整理し、理論モデルとの比較に適したサンプル選択則を検討した。また、前年度にGRBとは別種の観測によって発見された突発天体である高速電波バースト(FRB)と GRB の起源に関連性がある可能性を示す観測的証拠を発見したことを受け、その成果を論文にまとめて出版するとともに、すばる望遠鏡およびGemini望遠鏡の観測データを用いて過去に発生した FRB の発生現場を調べる解析を行い、この結果も前述のものとは別個に論文として出版した。今回の解析では FRB の発生現場の特定には至らなかったが、よりよい観測条件下で得られたデータがあればより実効的な制限を得られることを示した。さらに、今後 GRB や FRB などの突発天体の可視光追観測を行うため、東京大学の木曽シュミット望遠鏡に機械可読な突発天体速報である VOEvent に対応した自動追観測システムの導入を開始した。現在重力波現象を対象に試験運用中の本システムを本格稼働させて GRB や FRB など様々な突発天体の追跡観測を効率的に行うことを目指す。
1: 当初の計画以上に進展している
本来予定していた GRB 母銀河研究に加え、GRBとは別種の観測によって発見された突発天体である FRB と GRB の起源に関連性が示されたことで GRB の起源解明に向けて新たな手がかりが得られ、今年度はそれら両面からの研究を進めることができた。
GRB 母銀河だけでなく GRB 残光についても多波長の観測データを収集し、理論モデルとの比較によって物理モデルパラメータの分布を制限する。また、東京大学の木曽シュミット望遠鏡を活用して GRB や FRB の観測データ取得を推進し、FRB と GRB の関連性の追求も進める。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
The Astrophysical Journal
巻: 858 ページ: id. 4, 10 pp.
10.3847/1538-4357/aab9a9
Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: 70 ページ: id.L7 (1-5)
10.1093/pasj/psy102
Yuu NIINO's Researches