研究課題
これまでのLHC実験により電弱スケールの超対称粒子を伴う超対称標準模型は強く制限されている。特に,最小超対称標準模型において種々の実験制限を満たすためには,超対称粒子のほとんどがTeVスケール以上の質量を持つ必要がある。しかしながら,これを拡張した超対称性理論では電弱スケールに超対称粒子があっても実験的に許されている可能性がある。そのような例として考えられている具体的な超対称模型の一つに,munuSSMと呼ばれる模型がある。この模型では,Rパリティが破れていることにより最も軽い超対称粒子が不安定となることで,最小超対称標準模型において課されるLHC実験の制限を逃れることが可能である。軽い超対称粒子が存在しうることによる長所として,ミューオンの磁気双極子モーメントによって見いだされた標準模型理論値と実験値との不一致を超対称粒子の寄与によって説明しうることが挙げられる。これに動機づけられて,munuSSM模型においてこの不一致を説明しうるパラメーター領域を調べ,LHC実験の制限を逃れつつミューオン磁気双極子モーメントの実験値を説明しうることを明らかにした。今年度の研究のトップ・ダウン型アプローチとしては,大統一理論における二重項・三重項分離問題を解決しうるような超対称大統一模型を考え,それらの模型において陽子崩壊率の予言値を導出し,Hyper-Kamiokande実験における検証可能性を議論した。具体的には,flipped SU(5)大統一理論を考えた。この理論では,missing partner機構と呼ばれる機構によって二重項・三重項分離問題を解くことができる。この理論において陽子崩壊の分岐比を種々の崩壊モードについて計算し,これらの予言が通常SU(5) 大統一理論のものと大きく異なること,またニュートリノ質量階層性に依存して予言が変化すること,をそれぞれ示した。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 5件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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