| 研究課題/領域番号 |
17K14287
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| 研究機関 | 大阪大学 |
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研究代表者 |
池田 陽一 大阪大学, 核物理研究センター, 特任助教(常勤) (90548893)
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| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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| キーワード | ハドロン間相互作用 / 格子QCD / ハドロン分光 |
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| 研究実績の概要 |
近年、国内外の理論・実験からチャームクォークを含むハドロン分光や原子核の存在の可否に関して注目を集めている。本研究ではチャーム・クォークを含むようなハドロンに関して、強い相互作用の第一原理計算である格子QCDを用いてハドロン間相互作用の導出を行い、未知の原子核存在の可能性を議論した。
チャームクォークは核子を構成するアップ、ダウンクォークに比べ約500倍程も重い。このため、チャームクォークを含むハドロン、原子核では、アップ、ダウンクォークのカラー自由度による動力学が明らかにされると期待される。
今年度、1つのチャームクォークを含むハドロンの中で、基底状態であるD中間子ならびにLambda_cバリオンと核子間の相互作用を導出した。これらの相互作用の情報は実験からの直接理解は難しく、様々な現象論的模型がこれまで存在したが、それらによる物理量の予言値はバラバラであった。本研究課題では第一原理計算によりこれらの相互作用を、同時刻南部-Bethe-Salpeter波動関数を計算し、ポテンシャルの形で導出した。この結果、D中間子-核子、Lambda_cバリオン-核子間の相互作用は弱い引力であることが理解された。
また、この相互作用は、QCDの散乱行列の情報を忠実に再現するものであり、これを用いて未知の原子核の可能性を探った。本研究では、その第一歩として格子QCDの相互作用をそのまま用いて、foldingポテンシャルの形で原子核系へ応用した。その結果、Lambda_cバリオンについては、核子数が約10以上において原子核が存在する可能性を示した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は研究計画通りに進行した。
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| 今後の研究の推進方策 |
D中間子およびLambda_cバリオンを含むような原子核生成実験がJ-PARC等の加速器研究施設において考えられている。これらの実験計画にそった形で理論の予言を与えることは当該分野における最重要課題である。
特に、実験で重要となるのは、D中間子およびLambda_c原子核の生成断面積である。今後は、これらの生成に関する情報を含むような理論的計算を中心に行って行きたいと考えている。
特に、我々が格子QCDで計算する同時刻南部-Bethe-Salpeter波動関数はQCDの散乱行列(S行列)の情報を持っており、S行列に忠実に相互作用を導きだすことができる。そのため、我々の求めた相互作用は散乱理論に忠実なものとなる。この事実を利用して、実験で考え得る生成反応断面積の計算を行う予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究課題において、スーパーコンピュータでの計算結果を保存するストレージに関して、Japan Lattice Data Grid(JLDG)から約30TB相当分のストレージを提供してもらえたため、その費用分を次年度に使用することとした。
研究は現在円滑に進んでおり、来年度も国内のスーパーコンピュータセンターを利用し約30-50TB相当のデータの保存が必要となる予定であり、これは当初の研究計画より約20-30TB大きい計算である。このデータを保存するために、差額分を利用する。
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