研究課題
パラ水素ガス標的を対向パルスレーザーで第一振動励起順位に励起し、そこからのコヒーレント増幅された対向二光子放出の観測に成功した。実験にはこれまで開発してきた狭線幅中赤外レーザーを励起光源、およびトリガー光源として用いた。二光子放出レートの各種実験パラメータ依存性(レーザー周波数離調・標的ガス圧・励起パルスエネルギー)を評価した。数値計算では対向型励起放出の時間空間発展を解くため、Method of Lines法を用いたMaxwell-Bloch方程式を実装した。空間離散化にはWeighted Essentially Non-Oscillatory法を、時間発展にはBulirsch-Stoerアルゴリズムを採用することで、安定した数値計算を実現した。この場合、O(10^4)の常微分連立方程式を解く必要があったが、並列コンピューティングの手法を用いることで、汎用的なラップトップコンピュータでも短時間でパラメータスキャンすることを可能にした。実験結果と計算結果は定性的によく一致しており、対向二光子放出現象をよく理解できていると言っていいと思われる。特に強度依存性、離調依存性、圧力依存性などを比較した。二光子放出強度は1桁弱の違いが見られたが、これはおそらく計算が空間1次元しか取り入れていないためと考えられる。これに関しては今後空間3次元化するなど、より発展した研究が必要だと思われる。以上の成果をまとめた結果を原著論文として出版した。本成果はマクロコヒーレント増幅を利用した原子ニュートリノ質量分光の実現に向けた重要な成果である。
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Journal of Physics B: Atomic, Molecular and Optical Physics
巻: 52 ページ: 045401~045401
10.1088/1361-6455/aafbd0