研究課題/領域番号 |
17K14296
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
丸吉 一暢 成蹊大学, 理工学部, 助教 (30781942)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 超対称性 / 共形場理論 / 場の量子論 / くりこみ群 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、研究実施計画に沿って超対称性が低エネルギーで拡大する4次元ラグランジアン理論の探索とその拡大条件、拡大理由の解明に焦点を当て研究を進めた。まず、超対称性が低エネルギーで拡大する条件について考察を行った。このラグランジアン理論は N=2 理論の変形として得られることが知られており、後者の理論に関係する2次元カイラル代数のSugawara条件が低エネルギーでの超対称性の拡大と関係していることを、様々な場合でチェックした。多くの場合ではこの条件が満たされているが、満たされていても拡大が起きない場合もあり、全容の解明を行なっているところである。超対称性が拡大する理由の解明に関しては、特に低エネルギーでの真空構造をラグランジアン理論の観点から調べることにより、真空がクーロン相であることや、それを記述するSeiberg-Witten曲線等を導出することに成功した。これらの研究は超対称性の拡大現象の解明に欠かせないものであり、今後の研究においても有用となるものである。
また、低エネルギーでE7型の対称性を持つN=2超共形場理論を固定点として持つような上記とは異なる模型を発見し、その超共形指数の計算に成功した。
さらに、関連する研究として、4次元N=1 SU(2)ゲージ理論の可能な全ての変形に対する低エネルギー固定点を分類し調べた。これらには上記の超対称性が拡大する固定点もあるが、その多くは N=1 超対称な固定点である。実際これまで知られていなかった新たな固定点が存在することを発見し、現在論文を準備段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記のように既に発表した論文に加え準備段階の論文もいくつかあり、計画に沿った研究の成果が得られている。また、N=1 ゲージ理論の研究により新たな固定点の発見など思いがけない進展があることが明らかになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に実施した研究をもとに、4次元ラグランジアン理論による N=2超共形場理論の分類を行う。上記のSugawara条件は理論の物理量に対する条件であり、ある「許された」値の物理量の場合には超対称性の拡大現象が起こることを示していた。一方「許されない」値の場合は、超対称性が拡大しない、もしくは解析に矛盾が生じているはずであり、このことを利用して、N=2超共形場理論の分類を行う。
これとは別に、N=1超対称ゲージ理論において N=1 対称性を保つ可能な限りの変形を考察し、そのもとでの固定点を調べる。これは29年度の研究をさらに発展させるものである。
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