研究課題/領域番号 |
17K14299
|
研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
西村 太樹 東京都市大学, 共通教育部, 准教授 (30612147)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ベータ崩壊 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はカビボ・小林・益川(CKM)行列のユニタリー性や弱い相互作用への右巻きの混入の有無を検証するために、原子核の超許容純フェルミ型ベータ崩壊の崩壊強度を決定することである。特に、これまでに測定精度が悪くその値が他の原子核の崩壊強度よりも大きくずれている18Neと30Sの崩壊強度を決定する。そのために、ベータ崩壊分岐比を精密に測定するシステムを開発することである。 既存のベータ崩壊分岐比測定システムではベータ線の検出効率を100%にすることが難しかったので試作器として原子核を埋め込むストッパーをベータ線検出器が兼ねるというアクティブストッパーを開発した。この結果、アクティブストッパーの有効性が検証された。 一方で、1つのアクティブストッパーでは長寿命の娘核のベータ崩壊が背景事象となってしまい測定精度を下げてしまうことも分かった。そこで、本研究では、スライド式に複数個のアクティブストッパーを用意し、原子核を埋め込むストッパーを次々に入れ替えながら測定するシステムを考案した。 平成30年度は安価で性能の良い光検出器が購入可能となったことなどからシステムのデザインを見直したテストのためのシンチレータの購入や各種部品の検討、システムの再設計及び組み立て作業を行う予定だった。しかしながら、実験で利用するガンマ線検出器であるゲルマニウム検出器の候補が増えたために、最適な実験セットアップを考え直す必要が生じたため、引き続き、システムの再設計を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成30年度は、より安価で性能の良い光検出器が購入可能となったことと利用できるゲルマニウム検出器の候補が増えたことなどからシステムのデザインをさらに見直した。これにより、テストのためのシンチレータの購入や各種部品の検討、システムの再設計を行ったことで当初の計画から遅れてしまった。しかしながら、このデザイン変更によって、当初の計画以上に性能の良いシステムが開発できると見込まれる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度、30年度に変更して再設計したベータ崩壊分岐比の精密測定システムを、令和1年度には実際の部品の調達や組み立て、調整などを行って機能するようにする。また、ビームを用いないオフラインテストを行う。平成29年度および平成30年度は研究室の学生が新しい大学に着任したこともありゼロ名であったが、令和1年度からは研究室の学生を受け入れられて研究協力者として本研究をより一層推進できる見込みである。令和1年度の加速器から得られるビームを用いた本測定実験を遂行する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
利用可能なゲルマニウム検出器の候補が増えたため、システムの再設計に時間がかかってしまい平成30年度には一部を予定通りに使用できなかった。令和1年度には予定したシステム開発を行える予定である。
|