研究課題/領域番号 |
17K14305
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研究機関 | 神戸市立工業高等専門学校 |
研究代表者 |
高見 健太郎 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70758002)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 重力波 / 連星中性子星 / 数値相対論 / 状態方程式 / 大質量星 |
研究実績の概要 |
2015年9月、連星ブラックホール合体からの重力波が世界で初めて観測され、2017年のノーベル物理学賞を受賞した。その後も、続々と連星ブラックホールからの重力波が観測されている。それに加えて、まだ数例(候補も含む)ではあるが、連星中性子星合体やブラックホールと中性子星からなる連星合体からの重力波も観測することに成功している。また、日本のKAGRAも完成し、2020年度2月より観測を開始したので、さらなる結果に期待が持たれる。
このような現状を踏まえ、観測される連星中性子星合体からの重力波から多くの物理情報を引き出すことを主眼に様々な角度からの理論的研究を行っている。特に、連星中性子星合体及びそこから放射される重力波の状態方程式依存性に重点を置いて研究を進めている。
ここでは、研究内容・実績の一例を紹介することにする。核密度を超えるような高密度状態を地球上で実験することは困難なため、高密度状態方程式の解明は重要な課題であるにも関わらず未解決の問題である。しかし、この問題は連星中性子星合体からの重力波の観測によって前進することが期待されている。そこで、近年の理論研究によって新しく提案された状態方程式(クォーク・ハドロン・クロスオーバーを考えた QHC19 など)を用いて、それが重力波の波形に与える影響などを詳しく調べている。さらに、観測される重力波から、その状態方程式に関する情報を取り出す方法などを考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響により、出張等ができなくなり、共同研究者との集中的な打合せなどが続いている。さらに、緊急事態宣言等に伴う遠隔授業や校務(感染予防対応、学生対応など)の増大により、著しく研究に充てることができる時間が激減した。これらの理由により、研究計画を予定通りに進めることができず、そのの進捗状況は遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
現在、本科研費プロジェクトの枠組みの中で、大きく分けて3種類の異なる研究を実施中である。
LIGO-Virgo-KAGRA コラボレーションにおける O3 観測は、新型コロナウイルスの影響により2020年3月に中断されたが、2022年の後半には O4 観測が開始されことが期待されている。本観測が開始されれば、観測的側面から得られる情報が劇的に増加することが見込まれるため、その情報が活かせるように、理論と観測がリンクした研究をメインに実施していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により、原則として出張できない状態が続いた。それにより、助成金を次年度に繰り越すこととなった。 繰り越された助成金は、新型コロナウイルスワクチン接種等により収束することが期待されるため、旅費に当てることを予定している。
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