研究課題/領域番号 |
17K14305
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研究機関 | 神戸市立工業高等専門学校 |
研究代表者 |
高見 健太郎 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70758002)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 重力波 / 連星中性子星 / 高密度状態方程式 / クロスオーバー相転移 |
研究実績の概要 |
2015年9月、連星ブラックホール合体からの重力波が世界で初めて観測され、2017年のノーベル物理学賞を受賞した。その後も、続々と連星ブラックホールからの重力波が観測されている。それに加えて、まだ数例(候補も含む)ではあるが、連星中性子星合体やブラックホールと中性子星からなる連星合体からの重力波も観測することに成功している。また、まだ感度は劣るものの日本のKAGRAもO3観測の終盤から参加し、2023年に予定されているO4観測によって、さらなる結果に期待が持たれる。
このような現状を踏まえ、観測される連星中性子星合体からの重力波から多くの物理情報を引き出すことを主眼に様々な角度からの理論的研究を行っている。特に、連星中性子星合体及びそこから放射される重力波の状態方程式依存性に重点を置いて研究を進めている。
ここでは、研究内容・実績の一例を紹介することにする。核密度を超えるような高密度状態を地球上で実験することは困難なため、高密度状態方程式の解明は重要な課題であるにも関わらず未解決の問題である。しかし、この問題は連星中性子星合体からの重力波の観測によって前進することが期待されている。そこで、起源が明確かつ最も強度が強い特徴的振動数(一般にf2と呼ばれているもの)に焦点を当てて研究を進め、世界で最初にクォーク・ハドロン・クロスオーバーな相転移を持つQHC19状態方程式を含めて相転移の有無や種類の影響を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響により、出張等ができなくなり、共同研究者との集中的な打合せなどが難しい状況が続いている。さらに、緊急事態宣言等に伴う遠隔授業や校務(感染予防対応、学生対応など)の増大により、著しく研究に充てることができる時間が激減した。これらの理由により、研究計画を予定通りに進めることができず、そのの進捗状況は遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
LIGO-Virgo-KAGRA コラボレーションにおける O4 観測が、2023年に開始される予定である。これにより、観測的側面から得られる情報が劇的に増加することが見込まれるため、その情報が活かせるように、理論と観測がリンクした研究をメインに実施していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張を含む複数の出張の計画をしていたが、新型コロナウイスルの影響により海外・国内ともに出張することが難しく、使用額を大きく翌年度に持ち越さなければならなくなった。また、半導体不足により物品の納入目処も立たずキャンセルせざるをえない状況も重なった。今年度に延期している共同研究者との打合せを含む海外出張等を実施する予定である。
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