研究課題
ガラスの物理の未解決問題の一つであるテラヘルツ帯の普遍的励起のボゾンピークをテラヘルツ時間領域分光で検出可能であることを実証し、テラヘルツ帯赤外・ラマン分光、およびブリルアン散乱分光、非弾性中性子散乱、そして低温比熱による振動状態密度決定と、融合的な分光法によってボゾンピーク研究を推進した。特に低温比熱から決定した振動状態密度とテラヘルツスペクトルを比較することにより、代表的なネットワークガラスであるシリカガラス、そして水素結合系ガラスであるグルコースガラスをはじめとした分子性ガラスに対し、テラヘルツ光と振動状態密度の相互作用に関する基礎知見を得た。加えて、高分子ガラスの普遍的励起と考えられるフラクタルダイナミクス(フラクトン)がテラヘルツ分光で検出可能であることを、フラクトン領域に対する赤外光振動結合定数の定式化を行うことによって示した。ここでは、非晶質に対する線形応答理論とフラクトンモデルを組み合わせることによって定式化に成功している。これにより、高分子ガラスのボゾンピーク周波数以上のテラヘルツスペクトルにおいてフラクタル及びフラクトン次元がどのように現れるかを理解することができる。また、ボゾンピークのテラヘルツ分光による検出が可能であること及び赤外スペクトルにおける吸収係数の絶対値が決定できることに基き、非晶質物質に対する非破壊・非接触な結晶化度決定方法を新たなテラヘルツ光の利用例として提案した。本手法は、結晶性高分子の結晶化度決定などに応用可能である。
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2018 43rd International Conference on Infrared, Millimeter, and Terahertz Waves (IRMMW-THz)
巻: - ページ: 1-2
https://doi.org/10.1109/IRMMW-THz.2018.8510433
https://doi.org/10.1109/IRMMW-THz.2018.8510157
巻: - ページ: 1
https://doi.org/10.1109/IRMMW-THz.2018.8509881
https://doi.org/10.1109/IRMMW-THz.2018.8510341
https://doi.org/10.1109/IRMMW-THz.2018.8509969
http://www.ims.tsukuba.ac.jp/~mori_lab/index.html