研究課題
本研究は,デュアルコム光源(位相同期された2台の光コム)を用いたコヒーレント分光法という新計測法の確立を目的として行った.デュアルコム分光法は,これまで主に精密分子分光や精密距離測定などで用いられてきたが,光コムの特長である高いコヒーレント制御性を従来の適用範囲を越えて積極的に活用することで,コヒーレント光コム分光という新たな応用可能性の創出・開拓を目指した.初年度(H29年度)は,デュアルコム光源のコヒーレント制御法に関して,制御方式の検討および基礎特性評価を進めた.本コヒーレント制御は,オフセット周波数fceoと繰り返し周波数frepという2つの周波数を精密操作することで行った.このときfceo, frepの値に対して任意の関係性を与えることで,多彩なコヒーレント変調法が実現可能なことを見出した.特に「オフセット周波数差Δfceoの積極的活用によるデュアルコムパルスの相対CEP操作」という概念は,広範な応用が見込まれる重要な知見獲得であった.原理実証実験として,光コムによって偏光制御を行う「偏光変調デュアルコム分光法」や横モード制御を可能にする「光渦コム」の技術開発等を行った.最終年度(H30年度)は,初年度に得られたΔfceo制御性の知見に関して,特に偏光制御技術としての発展性に焦点を当てて研究を遂行した.一例としては,開発した偏光デュアルコム分光法に対して複屈折材料Nd:YVO4結晶を測定試料として実際に適用し,光コム周波数パラメータによって偏光変調されたデュアルコム分光データの取得に成功した.その他,偏光デュアルコム分光の磁性材料への新規適用や,光渦を用いたコヒーレント分光法の開発等に関して成果を得た.以上,本研究課題によって,精密な周波数基準という従来の光コムの捉え方を大きく越えて,新たなコヒーレント光波制御技術としての応用可能性を幅広く提示した.
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http://kjk.office.uec.ac.jp/Profiles/70/0006961/profile.html