本研究の目的は、空間反転対称性の破れを伴う相転移の量子臨界点で発現するスピン三重項状態を実験的に実証することおよびその超伝導状態の理解である。申請者はCd2Re2O7の超伝導状態を調べるとともに、様々な超伝導体の性質を調べ、それらを比較することでスピン三重項超伝導体の性質の理解を深めた。 Cd2Re2O7においては2万気圧下においても超伝導状態がs波であることを示唆する結果を得た。 また、スピン三重項超伝導が期待されている超伝導体UCoGeをはじめとした他の超伝導体の研究を行い、UCoGeにおいて強磁性ゆらぎが超伝導に重要なことなどを示す結果を得た。
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