現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画以上に進展していると評価する。また、本研究を始める前に期待していた以上の研究成果を出すことができたと考える。 平成29年度の計画は、ガラスの振動解析を実施し、その振動特性を比較的高周波数域のメソスケールから、マクロな連続体極限(低周波数・長波長極限)まで幅広く明らかにすることであった。この目標は十分に達成でき、研究成果を次の論文にまとめることができた:H. Mizuno, H. Shiba, A. Ikeda, PNAS 114, E9767-9774 (2017); M. Shimada, H. Mizuno, A. Ikeda, PRE 97, 022609 (2018)。また、国際学会、国内学会で研究成果の発表を行うことができた。 研究実績で述べた通り、連続体極限ではガラスの振動特性が弾性波になることが期待されるが、本研究によって実はそうではなく、弾性波と局在化振動が混在したものであることが明らかになった。この結果は、本研究を始める前は予想できなかったものであるが、ガラス物性を理解する上で本質的に重要なものであると考えられる。また、当初計画していたレナードジョーンズ系のガラスだけではなく、それとは異なるポテンシャル系のガラスの解析も実施し、特異な振動特性の普遍性を示唆することができた。これらの結果は、ガラス物性の理解に大きく貢献するものであり、ガラス物性の分野にインパクトを与えることができたと考える。 さらに、本研究成果をもとにプレス発表を行い、成果を社会に発信する活動を行った。その結果、日経産業新聞(2017年11月27日)、日経新聞(2018年3月4日)ほか、多くのメディアに取り上げられ、本研究成果の重要性、面白さを広く伝えることができたと考える。
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