非弾性X線散乱実験や計算機シミュレーションを融合し,液体の物性である粘度の微視的起源を明らかにすることを目的とする.非弾性X線散乱実験から,水の実時間・実空間相関関数を導くことに成功し,実空間での水分子の運動と水の巨視的物性である粘度との関係性を明らかにした.また,ブラウン動力学シミュレーションと小角中性子散乱実験から,定常せん断流にある荷電コロイド分散系の構造異方性を特徴づけ,定常流粘度との関係を明らかにした.液体金属の分子動力学シミュレーションから,液体の局所応力構造と局所粘性緩和の間の強い相関を発見した.この結果は,液体状態の構造変化と運動は,局所的に強い相関があることを示している.
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