液体は低温で徐々にその構造を変化させ、より秩序だった安定な構造を形成していく。しかしながら、その低温極限である基底状態が具体的にどのような構造かは明らかでない。なぜなら、通常の液体は低温で、結晶化するかあるいは粘度が増大して構造を変化できない状態(ガラス状態)になるからである。本研究では、シリカナノ細孔に封じることで結晶化を抑制するとともに、その構造安定化を促進し基底状態を、ガラス状態になるよりも高温で実現することを試みた。シリカ細孔内に封じたトルエンは、細孔壁界面での“濡れ”に関係した非平衡の問題はあるものの、実際にそのような挙動(構造変化の静的な凍結)を示すことがわかった。
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