研究課題
本研究の目的は、将来の惑星“着陸探査”に向けて、惑星の起源と進化の解明に繋がる惑星物質の元素情報を詳細に解読するため、その場での高精度・多元素同時分析が可能な“能動型蛍光X線分光計”の開発を行うことである。本研究では、従来検出器のX線窓として使用されてきたベリリウム(Be)ではなく、より薄く加工が可能な“シリコンナイトライド(Si3N4)”を検出器のX線窓として使用する。これにより、低エネルギーのX線透過率が上昇し、低エネルギーX線の検出効率の大幅な向上が期待できる。本年度は高真空実験にて得られた結果を、従来の焦電結晶型X線発生装置の開発に反映していく過程で明らかとなったX線発生量の圧力依存性について実験結果をまとめ、国際会議(the 32nd International Symposium on Space Technology and Science)にて成果報告を行った。さらに発表内容を論文としてまとめ、査読付英文雑誌に投稿中である(年度末時点では最終判定中である)。X線窓として使用する素材Si3N4は、厚さが50nm前後と単独では非常に薄く破れ易いため、打ち上げ時の振動衝撃に対する耐性について検証した。正方形のシリコンフレームにより周囲を補強したSi3N4薄膜(既製品)を用意し、Si3N4(厚さ50 nm)の耐振動試験を行った。宇宙機打ち上げ時を想定した振動試験の結果、シリコンフレームの破損は見られなかった。膜についても振動前後で大きな破損は見られなかったが、伸長の可能性については検討の余地が残った。検出器表面にSi3N4を形成する際には、検出器の結晶表面に直接Si3N4を密接着させ、フレームでSi3N4の周囲を補強するなどして、振動に対応する必要がある。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
International Symposium on Space Technology and Science, ISTS Web Paper Archives
巻: 2019-k-04 ページ: 1-6
巻: 2019-k-05 ページ: 1-7