R3年度は、R2年度に執筆・投稿していた、極値統計解析に基づく余震による最大振幅予測法に関する論文のリバイズを行った。この論文は2021年6月にBulletin of the Seismological Society of America誌に掲載された。また、開発した予測法を、2008年岩手・宮城内陸地震(M7.2)、2018年大阪府北部の地震(M6.1)、2021年福島県沖の地震(M7.3)後に発生した余震の連続地震動記録に適用した。いずれの地震でも、本震発生から数時間以内に得られる地震動記録に基づき計算した最大振幅の超過確率が、本震の4日後までに実際に発生した最大振幅をよく予測できることを示した。これら3個の地震はマグニチュード、発生メカニズム、震源-観測点間距離がいずれも大きく異なるが、様々なタイプの地震や観測点について本手法の有効性を確かめ、その汎用性を確認することができた。さらに、任意の値以上の揺れの発生回数や、大地震前の普段の地震活動に基づく地震動発生確率の倍率についても、極値統計解析の枠組みで計算・予測可能であることを示した。これらの成果を招待講演を含む複数の学会や研究集会において発表した。 極値統計解析に基づく任意地点での揺れ予測は、理論上、余震のみならず普段の地震動記録にも適用可能である。本研究課題においては、大地震発生から数時間以内のデータを用いて数日先までの余震予測を行うことを目的としていたが、今後、この解析手法を数年間のデータに適用することで、数十年先までの揺れの長期予測を行うことを計画している。
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