研究課題/領域番号 |
17K14386
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
内出 崇彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (80713049)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地震学 / 動的誘発地震 / 可聴化 / 茨城県北部の地震 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、地震波可聴化システムの構築を中心に研究を進めた。仕様を定め、システム作成を外注した。可聴化システムにおいては、Matsubara et al. (2016)で用いた手法以外にも、可聴化音の割り当てを複数設定できるようにした。また、観測点の地域を区切って可聴化できるようにした。可聴化の際の再生速度も任意に指定できるようにし、動的誘発地震聴取に適した再生速度を探すことができるようにした。2004年以降に世界で発生したマグニチュード7以上の地震の際の日本における地震観測データ(Hi-net, 大学, その他研究機関等の速度波形データ)を収集し、順次可聴化を行い、可聴化システムの動作を確認した。 遅発型動的誘発地震の検出のためには地震活動解析が必要になるが、その一つであるETASモデルについて、2011年・2016年茨城県北部の地震を題材にした研究を通じて習得した。同地震は2011年東北地方太平洋沖地震による誘発地震であると考えられるが、同地震による地震時及び地震後の応力載荷を定量的に調べるために、ETASモデルを利用した。解析には、etas_solve (Kasahara et al., 2016)を利用した。国土地理院のGNSS観測網GEONETを用いた地表歪推定の結果と比較しながら慎重に結果を検討した結果、ETASモデルのbackground seismicity rateが地震発生層における応力蓄積速度をよく表していると結論付けた。ETASモデルを用いた解析は、今後、遅発型動的誘発地震の同定に用いる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
可聴化システムが予定通り完成し、地震波の可聴化を予定通り、開始することができた。データについても準備することができた。遅発型動的誘発地震については、手法の準備ができている。
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今後の研究の推進方策 |
即発型動的誘発地震の検出については、地震波可聴化システムによるスクリーニングを経て、詳細な波形解析に移る。その際、深層学習による地震波自動検測の技術の導入も検討する。地震波可聴化システムについては、本年度発見された問題点について改修を実施する。 遅発型動的誘発地震については、ETASモデルによる解析を各地域について自動的に実行できるよう、プログラムを整備する。 地震波による応力変化については、まずは簡易的な手法を検討するが、波形計算手法についても検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請額より減額して助成を受けたため、計算機を当初の予定より低いスペックの物に置き換えた。その結果、次年度使用額が生じた。次年度においては、地震波可聴化システム改修費、計算機ソフトウェア維持費に加えて、これまで上がった成果を学会で発表するための旅費として助成金を活用する予定である。
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